2008年産直活動に関する意見交換会「産直フォーラムin鳥取」
テーマ 日本の食の未来!!
13:30 開会
1.開会
 
2.主催者あいさつ 
コープ牛乳産直交流協会副会長 幅田組合長
 
本日は春らしい天気になりました。皆さん年度替わりでお忙しいところをお越しいただきありがとうございます。
さて、我々食に携わるものが一番気にしている事ですが昨年は不祥事がたくさんありました。また、海外の値上がりが農業に対して非常に大きな影響を与えてきております。そうした中で産直交流協会を組織し、毎年いろいろなイベントをしたり、意見交換会で語り合うわけですが、とくにこういうときこそ産直活動をもう一回お互いの立場で再確認し合い見直そうということでこの意見交換会も今回で3回目になります。
今回は松永先生に講演をいただき、その後パネルディスカッションということで盛りだくさんの内容で企画をしました。今回テーマとして掲げています「鳥取から日本の食の未来をつくる!!」ということで我々の取り組みが全国に発信できる機会になればと期待しています。
また、明日は恒例の産直交流協会の総会、そして鳥取県畜産さんの美歎牧場の山開きと続きます。今日と明日2日間、生産者・消費者の皆さんがお互いに一堂に会しての良い機会だと思っております。ぜひ有意義な会となりますようお願いをして開会の挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。
 
3.来賓あいさつ  鳥取県知事 平井伸治氏
 
皆様こんにちは。本日はコープ牛乳産直交流協会の皆様、コープしが、京都生協、県生協関係者など多数の方においでいただき、今日明日と鳥取県内をご覧いただきますことを本当に感謝申し上げたいと思います。とくに京都、滋賀など遠方からお越しのお客様どうもありがとうございました。県民を代表しまして心から歓迎を申し上げたいと思います。
本当に皆さんはラッキーですね。と申しますのも、ちょうど桜が今日に合わせて鳥取市内は咲くようになっておりますので、今日はお城のあたりではお城祭りですとか桜祭りですとか、勉強もいいですが、勉強が終わりましたらそちらのほうも巡り歩いていただいたらなあと思っております。
本日は松永先生にお越しいただき、また主催者の方で大山乳業の幅田組合長さん、あるいは鳥取県畜産農協の鎌谷組合長さんはじめたいへんな汗をかいていただきましてありがとうございました。
今、鳥取県を私たちは「食のみやこ」ではないかと訴えかけをしようと思っております。うちも県生協に家内が加入しており配送をしていただいていまして、先般いろんな騒ぎがあったときに私もリストを見ておりましたら、うちにコープ中辛カレーが5袋もありました。あらら〜と思った時にはすでに3袋くらいになっていたというようなことがありました。コープの方も非常に気を使って頂きましてその後のフォローアップもしっかりしていて皆安心していたんですが、ただ私たちは食についてもう一度考えなければいけないと思います。我々は消費者であると同時に鳥取県の場合、実は生産者側でもあります。両方の事情からして今こそ本当の意味で顔と顔とが見える、手と手を結びあう、物流を結びつけ合う、産地と消費者とが繋がり合う、それを本気で考えなければならないと思っています。私たちが安心して、これは大丈夫と自信を持って食べれる物はスーパーだとかデパートだとか通信販売だとか見ていてもそうそうあるものではないわけです。しかし、今日この機会に産地直送ということで皆さんは生産者の方と向き合っていただくわけでありあますが、これで初めて「あっ!こういう仕掛けになっているんだ。」「こういう人たちが作っておられるんだ。」「実はこんな苦労があるんだな。」と見て頂いて初めて私たちは安心して食に向き合うことができるんではないかと思うんです。
しかし、わが国は気付いてみると既に食の面では植民地化しています。よその国から輸入した食べ物を食べさせられている。自給率はもう本当に低い状況です。ドイツやアメリカなどの先進国と言われるところはむしろ自給率が上がってきている。ドイツもだいたい100%くらいです。年々低下してきているのは日本くらいなんです。私たちは値段さえ安ければいいと思っていますが、しかしそれ以上に自分たちの暮らしの基ですので、食卓を安全にするという基本に立ち返らなければいけないと思うのです。
そういう意味で生協活動、産直活動の意義は非常に高まっていると思いますし、鳥取県からもご提案できることはたくさんあります。実は、県もこの度こうした事情がありますので、もっと安心できる食材を求めようじゃないかということで例えば低農薬とか無農薬の野菜なんかを供給できる体制を従来以上にしようと計画を作成しました。それから畜産についても課題を抱えているわけで、皆さんに安心してご提供できるように行政の方もバックアップ体制をしていかなければならないと思っています。
実は、皆さんが何気なく食べている、あるいは飲んでいる今日のテーマの畜産についても非常に厳しい状況があります。ガソリン代は収まったといって喜んでいるという状況もありますが、実はいろんな意味で相場がおかしくなってきているんです。原油が高くなってきた、あるいはそれと合わせて穀物の値段も高騰している。自然エネルギーに向かおうということでバイオエタノールに向かうわけですが、これで世界中のとうもろこしが相場がおかしくなってしまった。そういうことがえさ代に全部跳ね返っていて、実は作る側も大変なんです。昨日は若手の酪農家の方とか、女性の酪農家の方が県庁の方へ来られまして、私もしばらく意見交換をさせていただきました。昔は酪農は「楽な農業で楽農」だったかもしれないけど、今はフランス語になっているというんです。フランス語だと定冠詞でラってありましてLa苦の酪。そんな状況になっているわけです。それを皆さんにもわかっていただきたいなと思うんです。ただ生産者は頑張って頑張って皆さんに安全で安心でおいしいものを届けたい。そういう気持ちでやっています。お肉のこともありますが牛乳のこともあります。あるいは野菜、いろんなものがありますけれども、輸入のものとは違う大変な苦悩をご理解いただければありがたいと思います。
明日は美歎の山開きですので腹いっぱい鳥取の牛肉を食べて頂きたいと思います。おいしいものをたくさん食べて、また鳥取県の素晴らしい春を満喫していただきたいと思います。ここはしいたけ会館と呼ばれております。実は鳥取県は日本で唯一しいたけの研究所があるところなんです。ここはそのセンターで、さっきもほだ木を一生懸命積んでいましたけど、ほだ木をここから出荷したりしています。ここはそういう意味でいろんな食材の宝庫です。皆様この機会に食のみやこ鳥取へぜひこれからもお訪ねいただきたいと思います。私たち鳥取県としても皆さんを心から歓迎を申し上げたいと思います。今日のこのセミナー、また明日に向けての皆様の旅がつつがなく実り多いものとなりますように、思い出いっぱいになりますように、心からお祈りを申しあげまして私の方からの挨拶にかえさせて頂きたいと思います。どうもありがとうございました。
 
〜来賓紹介〜
鳥取県農林水産部長 河原正彦氏      科学ライター 松永和紀氏
 
4.フォーラム
 
1部 実践報告機‖膸各業農協 幅田組合長 
「日本一の牛乳に到達した経緯と現状」
 
引き続き少しお話させていただきます。鳥取県の酪農の現況と、大山乳業の特徴、大事にしていること、そして現在の酪農家が抱えている問題点を順番にお話しさせていただきます。
まず現況ですが、皆さん既にご存じですけども鳥取県内の生産者は全て大山乳業の組合員であります。大山乳業の工場は琴浦町にあり、生産者は県内一円。だいたい中部から西部にかけてが8割くらい。東部の生産者が2割の比率になっています。
 現在の酪農家の戸数は19年12月1日現在で216戸です。経産牛が7100頭、育成牛が4000頭近くで合計11000頭あまりの牛を飼っております。1戸あたりでは、経産牛33頭、育成牛18頭の合計51頭の飼育をしています。
 年間出荷される乳量は64400トン。中国5県の中では岡山県に次いで2番目の生産量です。ただ全国の量から言いますと、全国は700万トン強の生産量がありますので、だいたい0.8%くらいの比率になっています。
 大山乳業が大切にしていることは、まず乳質について大変力を入れているということであります。やはり牛乳のおいしさというのはもとの生乳の品質にあります。いくら工場の設備が良くてももとの品質が良くなければおいしい牛乳はできないということで、生産者の段階で乳質に非常に力を入れて取り組んできました。牛乳の品質というのも大きく分けると成分的な乳質と衛生的な乳質の2つがあります。成分のほうは脂肪率と無脂乳固形分率がありますが、大山乳業の場合は高い基準を設けております。現在の平均では脂肪率3.9%、無脂乳固形分率8.82%ということで、これは1年間の平均でありますが、相当高いレベルにあります。それから衛生的な品質では細菌数と体細胞数とあり、これは低い方がいいのですが、これも高いレベルにあります。全国的には体細胞は30万以下であれば良いということで30万を一応めざすわけですが、大山乳業の場合は10万〜15万というように大変低くなっています。この体細胞数というのは牛の健康を測る大きなバロメーターで、健康な牛でないと乳質も良くないということです。
 乳質を良くするため、また乳牛の個体の生産量を上げるために乳牛群検定事業というものが国の方で実施されていますが、これも以前から力を入れており、現在では普及率、酪農家が取り組んでいる率は日本一の普及率になっています。戸数でいうとだいたい67%、頭数でいくと8割の牛が検定事業に加入しており、毎月個体のデータを調べてそれを農家の皆さんにお返しして経営改善に役立てて頂いています。
それからもう一つの特徴は非常に育成牛の保有率が高いということです。育成牛が多いということが潜在的な生産力を維持するためには非常に大事なわけであります。北海道は全国で一番育成牛の保有率が高いのですが、北海道の場合は個体販売ということで都府県の方に販売をするということもあり、育成牛の保有率が高いのですが、北海道の次に鳥取県の育成牛の保有率は高いということで、4割弱の育成牛をもっているということであります。
それともうひとつ力を入れているのは、牛というのは本来草を利用していくという大きな特徴があるわけです。土地利用、糞尿処理の点からも土づくり草づくりそして牛づくりこういう循環に非常に力を入れてきております。粗飼料生産ということで、春は牧草、秋にはとうもろこし。これらをサイレージとして貯蔵して1年間安定的に食べさせていくということであります。最近では6畳刈りのような非常に大きな機械もコントラクター組合で所有して自給飼料生産に力を入れている。1頭当たり20アール強の自給面積を持っているのではないか。
それから力を入れているのは、今日の本題でもあります生産と消費の連携ということです。ただ牛乳を搾るだけではなくて、自らの工場で処理して販売するという中で、生産者と消費者の信頼関係を構築していくということで、産直交流活動にも非常に力を入れている。工場も見学ラインを設けまして、工場を見ていただけるようにしています。それから酪農の女性部が自分たちの牛乳をもっと利用して頂きたい、酪農のことを知っていただきたいということで一昨年あたりから食育活動に力を入れております。モーモーカウィークラブというものを組織し、学校、保育園あるいは老人クラブ等々いろんなところに出かけて行って酪農の理解を求めるような取り組みも始まってきております。
今、酪農は非常に大きな問題を抱えております。これは鳥取県ばかりでなく、全国的に深刻な状況になってきております。その中で一つは飲用牛乳の消費が増えなくてバターなり粉乳が非常に増えたということで18年、19年に減産をしていく、需要に合わせた生産をしていくということで、生産量を落としてきたわけです。やっとこの2年間が経過した中で飲用消費は相変わらず低迷しているものの、バターなり粉乳の需要が増えてきまして、それから北海道でチーズの製造が始まるということで20年からは少し生産を増やしてもよいということになったわけです。これが飲用消費の状況で、生産も少しずつ落ちてきていますが、飲用消費が毎年3%〜4%ほどこの4年間くらい減っているのが実態です。飲用消費が減ると乳価も加工の割合が増えてプール乳価が下がるということで、非常に厳しい状況が続いています。
そして一番問題はえさの面で、えさが一昨年の秋ぐらいからずっと値上げを続けています。17年は1トン当たり4万円あまりのところが、20年4月になると6万2千円を超し、5割以上値上りしている状況です。これは海外の穀物相場が非常に高騰している影響をうけています。飼料代が酪農家のコストで一番高いので、収益が悪化をしてきているのです。そうした生産状況、経営状況を乗り越えていくために我々がこれから考えていかなければならないのは、生産者側としては自給飼料の生産を更に増やしていく、今までどちらかというと購入飼料に頼ってきた経営を本来の自給飼料を利用できる大きな特徴を生かして自給飼料の増産にさらに力を入れていかなければならない。ただ、頭数が多い中で自給飼料の生産まで労力が回らないという実態もあます。そのために自給飼料の生産を請け負ってもらう組織であるコントラクター事業を作っていくという取り組みも始まってきており、そういったコントラクター組織をもっと増やしていきたと考えております。幸い農地は作り手が少ないということで借地もしやすい状況になっていますので自給飼料の生産を増やして購入飼料を少しでも減らすことに取り組みたいですし、それから耐用年数を増やすということで、今牛の償却は4年ということで税法上はあるわけですが、実際は2年半くらいで廃用にまわしてしまいます。牛の改良が進んできたということもあり、その代り耐用年数が短くなってきているということで、これもコストアップの要因になってきているわけで、もう少し耐用年数を増やしていくということがコスト削減するためにも非常に大事だと思っております。
安いえさが利用できるときは良かったんですが、えさが高くなると耐用年数を増やすことにも力を入れていく必要があると思っております。
それから、これは消費者の皆さんにお願いしなければならないのですが、飲用消費の拡大あるいは乳価の引き上げということで、牛乳が売れるのが一番いいわけですが、酪農家の厳しい状況を消費者の皆さんにも訴えるような酪農理解情勢運動というのも昨年から全国的に展開をしてきております。もっともっと酪農の実態を理解して頂いて、基礎的な食品である牛乳や乳製品の利用の拡大に生産者自らが取り組んでいきたいと思っております。
乳価の引き上げについては、今のようなえさ高の状況の中で乳価を引き上げていかなければ経営が成り立たないという状況になっていまして、乳価の引上げについてはこの4月からキロ当たり3円くらい上がることになりましたが、3円ではまだ非常に厳しいということで本来ですとキロ当たり10円くらい引上げが必要なのですが、今の消費環境の中ではそれも厳しい面もあります。消費の拡大、消費者の皆さんの理解を得ながら乳価の引上げも緊急の課題だと思っております。
酪農といいますのは、非常に息の長い仕事で、ひとたび生産が落ち込んでしまうと回復というのは非常に困難です。今、全国の酪農家も急激に減少して酪農を辞めていくという農家が増えており、非常に危機感を持っているわけですが、基礎的な食品であるということあるいは農地の有効利用という面でも酪農というのは非常に大事な産業だと我々は思っています。幸い若い後継者の方が酪農には多く参入してきております。こうした後継者の方が今後自信を持って経営に取り組めるように我々としても頑張っていきたい。そのためには今年が非常に大きな勝負の年ではないかと思っておりますのでよろしくお願いをいたします。以上をもちまして酪農の現況報告とさせて頂きます。ありがとうございました。
 
 
実践報告供…纂荼畜産農協 鎌谷組合長 
産直ではじまり、産直で育てたい―環境保全型・循環型農畜産業と循環型社会―」
 
畜産農協の組合長をしております鎌谷といいます。宜しくお願いします。資料として先週開催しました酪農畜産危機突破集会の資料を付けております。その資料に酪農家8名の声と肥育農家3名の声を載せておりますのでぜひ見ておいて下さい。
はじめに牛乳と牛肉、そもそも「牛とは」ということであります。飲み物である牛乳、食べ物である牛肉です。しかし、牛のもつ機能はそれだけなのか。もう少し牛をトータルでみてほしいという意味合いです。考えて頂ければ有史以来からの付き合いのある牛です。家畜としてずっと付き合ってきました。そうするとやはり単に食べ物や飲み物というだけではなく、人間にとって、社会にとって、牛はどういう存在であったのか。
45年前まで日本の農村では、牛は生産手段でした。耕運機やトラクターの代わりに働いていたわけです。同時に、山々や水田を守る大きな担い手として、環境保全、景観維持に役立っていました。と言いますのは、水田の畔草を刈って牛に食べさせる、朝早くふもとの集落から山に登って草を刈ってきて牛に食べさせる、余った草は牛の糞と一緒に堆肥化させるという具合に、牛がいるから農村の景観が守られていたという点にも少し焦点を当てていただきたいと思います。
また、牛乳とお肉の関係はどうかというと、牛から一体的にもらうものです。例えば、乳牛から乳を頂きます。年一回お産をします。子牛ができます。子牛ができたときに子牛のオスは乳がでませんからお肉にします。それから、母親の牛は、乳を搾って3産くらいすると乳の出が悪くなり、しょうがないからお肉にしましょうということになります。ということで、乳牛から毎日牛乳を頂いているわけですが、その副産物としての子牛をお肉にして食べる。経産牛ということで最後に命をいただいてお肉にする。牛乳、牛肉が別々にあるように見えますが、食べ物として牛全体があり、牛乳は大山乳業農協が扱い、お肉は同じ酪農家がつくった農協である、私のところの鳥取県畜産農協が扱うことによって、一体的に大事にしているわけです。また一部、肥育農家が子牛を仕入れ、肥育することでお肉にして出荷していただく、という関係もあります。「肉、牛乳は別だ」ということではなく、一体的にとらえて頂きたいわけです。
次に、牛が肉になる過程ですが、子牛が生まれ、だいたい30〜40日ぐらいの期間、哺育ロボットで授乳します。離乳後6ヶ月齢になるまで育成をしてから、その後肥育牧場や肥育農家に移動して肥育され、20〜22か月齢で、肉牛として出荷されます。これを食肉センターでト畜し、私のところの農協で解体しブロック肉にして、京都プロダクトに届けます。これをプロダクトからパックにして生協組合員さんへ提供するというような流れになっています。地元の生協の皆さんには、農協の加工工場でパックまでしてお届けします。
次に、この画面を見てください。先ほど牛の役割にふれましたが、このすばらしい大山の西側の草地の景観は、牛がいないと維持できないものです。水田放牧にも取り組んでいますが、水田1反(10アール)に3頭いれば、10日間できれいに食べてくれます。
さて、2001年に「こだわり鳥取牛」ということで飼料稲を中心とする循環型の畜産の取り組みをスタートさせました。現在、今のコメ情勢や食糧情勢の中で、飼料米としても、餌の代替とかバイオエタノールの関係で注目をされているところです。
実は、飼料稲に取り組む中で、3年ぐらい前から、人間が食べてもいいコメ、牛に食べさせてもいいコメ、それからエネルギーにしてもいいコメ、こういった品質が良くておいしいもの、コシヒカリみたいな味で、倒れにくくて、なおかつ収量がとれ、食用、飼料、燃料、どれにも使えるコメ。こういったものを開発してくれと、時々言っておりました。まさにそういった時代がきたのではないかなと思います。
それからもうひとつ、食品副産物、エコフィードについてです。リキッドフードとして、とくに豚の分野では前から進んでおりましたけれども、有限な資源をどう使っていくかということで、これも今、自給率の問題で注目を集めています。
産直という取り組みの中で、私たちはすでに2001年から始めてきたわけですが、もう一度それを今日の状況を踏まえて考えてみたい、ということで発表させてもらいます。
2001年当時の取り組んだころの状況ですが、まず第1点は、堆肥の処理をしないとどうにもならない。今では堆肥処理施設が整備されましたが、平成16年までに堆肥処理施設を作れと言われていました。利用促進に関する法律ができましたのでそれをうけて取り組みをしなければならない状況だったわけです。
第2点は、経済のグローバル化の中で、畜産のあり方についても問われ、畜産のあり方を変えていく必要があると考えてきました。今、まさにそういった状況になってきています。一つには、輸入に依存する餌ですが、その輸入と密接に関係のあるのが口蹄疫や、BSEもそうですが、疾病のリスクです。これを排除しなければならない。また、為替変動とか気象や国際情勢なんかで左右されない安定した畜産経営をするためにはどうはすべきか、加工畜産からの脱却や環境の為には、どういった畜産をしなければならないのか。それから畜産農家もいわゆる横着農業からの脱却を考えるべきではないか、別に畜産農家が本当に横着なわけではないわけですが、やはり電話一本で餌が簡単に注文できるような時代になり、自分で餌をつくらないような畜産は少し問題ではないか。草をつくらなくなったため、集落での人間関係が希薄となるという問題もある、専業農家としての集落や地域との人間関係はどうかといった問題もあり、もう少しあり方を考えなければならない。以前は田んぼと畜産が連携をしていたが、もう一度耕畜連携を前提とした地域農業を考えていく必要がある。
それから第3点は、安全性の問題です。O157などからの安全性確保の問題があります。また、販売の安定化という点では、生肉離れが激しいという状況の中で、これからどういった売り方をしていくかという問題がありました。
そして、ちょうど2000年でしたから、21世紀に向けてどういった産直をすべきなのかという課題もありました。
そうした諸々の情勢や課題を踏まえて打ち出した方向が三つあります。
そのひとつがやはり産直の強化ということで、一点は安全性、トレーサビレティー、今当たり前になりましたけれど、当時はまだ聞きなれない言葉でした。いわゆる履歴をちゃんとして、きちっとしたものを作っていこう。二点目は、安定性ということで産直の歴史にあぐらをかかずに、生協組合員の皆さんとの学習や交流をどんどんしていきましょうよと。それと第三点目に大切にしたのは、生産者と消費者が力を合わせて牛づくりをしていく。これは別に消費者の皆さんに、牛を飼って食べてということではなく、たとえばサシのない肉でも健康的なお肉として評価していただく、あるいはそういった価値観に変えていただくとか、また餌についても、PB商品からでているオカラなどの副産物を紹介して頂くとか、そういった取り組みを一緒にやることによって共同の商品を作っていきましょうということです。
この牛づくりのキーワードは、健康、エコロジー、国産、安全、低価格。とくに餌が中心でした。餌は、飼料稲の取扱いを中心としていますが、自給粗飼料であればいいです。国産あるいは循環ということを考えた畜産のあり方となれば良いと思います。
そして、こういった取り組みをすることにより、100年続く農畜産業を築くスタートにしようということです。
この画面の「センチュリープラン」ですが、これは京都生協側から、「この取り組みは100年計画でいきましょう」ということで出された言葉であります。4世代にわたるジェネレーションリレーで、とにかく4世代、百年間つながるような農畜産業を考えていく。またこの「美しい農村の再生」ということですが、昔から単に農村の景観が美しかったわけではありません。それを支えていた農村集落の人間関係が崩壊をしていないのかどうか。きちっとした農村というのは、農作業がキチッとされ、保全ができているから美しく見えるわけです。「農業後継者の確保、有限な資源(食糧)の再配分・循環、健康への食を通じた積極的な関わり方、食料自給等々」こういったものにも取り組みましょうというものでした。そして、100年という長期なわけですが、今現在、とにかく最初の10年間を大切にしていこうというものでした。
スタートして7年経過していますから、10年にはあと3年ありますけれども、こういったものを考えていこうというのが、生協と私たちの取り組みの中で生まれてきたわけです。 
健康な牛づくり、できるだけ国内の粗飼料や食品残さを中心に給与していく。経産牛を積極的に商品化する。肥育期間の短縮に取り組む。休耕田、転作田を利用した自給粗飼料をつくっていく。堆肥の循環に取り組み、資源として使っていく。国産については休耕田での飼料米に取り組み、いわゆる国産の穀物として使っていく。稲わらの利用とか、草地拡大による自給率の向上を図る。安全面では統一的な管理プログラムによる飼養管理やトレーサビレティーの確保等に取り組む。
ただ、「低価格」というコンセプトについては、現在、検討課題になっております。努力することによって採算コストを下げていくという方向は良かったのですが、現状の餌などの生産コスト高を考えると、これは修正していかないと経営がもたないと思います。
さて、そうしたコンセプトで、具体的に農協として取り組んだのは、BSEが始まる前の2001年でした。おさらいになりますが、この画面にあるように、自給粗飼料の取り組みをやらなければならない。崩壊の危機だという認識をもって取り組もう。今の状況の方がもっと厳しいわけですが、当時も本気でやらなければならない、堆肥の処理をビシッとやらなければならない。それから循環型酪農なり地域農業との共存を今後やっていかなければならない。狂牛病とか口蹄疫とかの問題を将来取り組んでいかなければならない。というものでした。
 つぎに、この画面は、飼料稲に取り組んだ最初の年2001年の圃場です。背丈が高く、収量の多い稲ですが、これは刈り取り収穫の風景です。これを収穫してから、だいだい1ヶ月くらいすると乳酸発酵し、その後一年ぐらいは品質的にもちます。これを餌として牛に食わせるわけです。 
最初の取り組みは、1市6町で始めました。集落でだいたい1ヘクタールくらい土地を集積し栽培してもらうということで取り組んできております。最初は米を牛に食べさせることに抵抗があったことと、飼料稲をつくってお金になるかどうかがわからないということもあり、専業農家に頼んだり、近所に頼んだり、とにかくやってることを見てもらって拡大しよう、という戦略で取り組みましたが、最初はかなり普及に苦労致しました。耕作放棄地での栽培も推進しました。とにかく山間部では、猪が出すぎて、稲を刈ったようになるまで荒されてしまい、5年間作付を続けたわけですが、最後には、専業農家も、もうかなわんということでやめられた地域もあります
この画面をみてください。この地域では、飼料稲の作付けが、2002年は10ヘクタール、2003年は20ヘクタールになりました。なぜここが広がったかということですが、よく田んぼをみてください。この田んぼは雑草が生えていますね。こうした、耕作放棄された水田や、作り捨ての田んぼ、条件の悪い所を全部貸して下さいということで、全面受託に取り組み、拡大したわけです。
この画面は、鳥取県全体の飼料稲の作付状況の図です。だいたい当農協で管理しているのが95町()ぐらい。あとの30数町は北栄町、伯耆町の酪農家や肥育農家が中心となって取り組んでいます。平成16年から、転作補助金の総枠が3年固定になったので、作付面積は横並びできています。ただ、19年は少し増加させました。20年も農協管内で106町を超える予定になっています。
飼料稲の取り組みの到達点を少しまとめてみたいと思います。
収穫専用機は6セット。補助金が半分ですから500万円位で、全体の機械投資は3000万〜4000万円位になります。この取り組みを行う体制としては、コントラクターという組織をつくり、いわゆる農家の行う作業を受託するという形で、受託作業を専門でおこなう組織を作りました。その専任職員によって刈取などの収穫、さらに苗の作付まで行う形を取っております。
年々、事業運営を拡大してきています。自給粗飼料は農協関連で2400トン、雇用契約面では、常時雇用が6人、季節雇用が秋に10人〜11人にのぼります。地域経済の点でも、1億近いお金が落ちますからそれで経済的な効果もあると思います。問題であった堆肥についても今は少し足らないくらいです。牛が少なくなっているから堆肥も足らないという問題が出てくることも考えられます。農業を考えても牛がいなくなったら肥料がなくなるような話で、現時点、少し足らないくらいになっています。
水田の利用という点では、平成19年の飼料稲の作付面積は、95ヘクタールです。栽培農家の分布は、1市3町で、栽培している集落数が51集落になります。農家戸数216戸、水田は517筆となります。これらを、コントラクターが契約したり調整しながらやっております。飼料稲の利用の拡大ということでは、酪農、直営農場、育成牧場、和牛繁殖というように、順次拡大してきています。とくに和牛繁殖についてはなんの非の打ちどころがないほど、良い餌という評価をうけています。
専用機6セットなど機械装備の体制をと整えながら、コントラクター(農協出資の作業受託組織)が耕種農家と連携し、畜産農家に供給する餌を栽培収穫するということで、地域の農業にも地域経済にも貢献しているわけです。
つぎに、この表を見てください。ただそう言いながらも、鳥取市の状況を見ても、まだまだ使われていない田んぼが多い。この耕作放棄地が、これからどんどん増えてくるというような状況です。
画面にある、こういった水田の状況をみると、田んぼがどんどん山になっていく状況がうかがえます。これは基盤整備した圃場ですが、耕作放棄地となって、葛が繁茂しています。さらにこの谷の奥に行くと昔は田んぼだったものが、この画面のように形すらうかがえなくなってきています。こういった所に飼料作物を栽培したり、この画面のように水田放牧として、牛を放牧し利用していくことも大切だと考えています。
そして、この牛作りのもう一つの大きな特徴となっているのが、食品副産物の餌への利用です。この画面は、99年酪農家が中心になって設立したTMR、いわゆる牛の給食センターですが、ここで食品副産物と飼料稲を利用し混合した醗酵飼料を作って、配給といいますか酪農家に配るというような取り組みをやっております。
餌として有限な資源大切に利用しているわけです。それからこの画面は、食品副産物の製造工程を、鳥取牛サポーターであった生協組合員の皆さんに見てもらって安全かどうかのチェックをしてもらっているという取り組みです。できた牛の販売を京都生協では2001年から開始して6年間継続してきました。
 こういった取り組みを産直によって行い、産直の中で牛をつくってきたわけで、その関係があったからこそ生産者も、先ほど説明したような飼料稲の作付が思い切ってできてきた、そして取り組みが地域に定着してきたという経緯がありわけです。
 これは、飼料稲の田植えの風景です。環境大学の学生や生協の皆さんと一緒に田植えをしました。またこの画面のように、実際刈り取りをしてもらったり、生協の支部長さんには田の草を取りを行なって頂きました。この画面のように、そういった経験をした後で肉を食べてもらうと、サシが入っていなくてもお肉はおいしいわけです。
 現在の農村の状況を考えれば、本当に山、水田が荒れ、限界にきていて、これが大きな問題の一点です。つぎに担い手確保の問題があります。これについては、またあとで触れたいと思いますが、70〜80歳代が担い手となっている状況があります。その状況の中で、今後どうやっていくかという問題もあります。
トータルなシステムの模索では、生産から販売までの一貫体制の確立の取り組みであります。その中で、生産と消費の分断を超え、どうやって生産者と消費者がどういったスタンスでやっていくのか、そして大切なのが、実践、とにかく一緒にやる、一緒に実践することが大事ではないかということであげております。生協との取引やつながりがあって、農村は思い切って仕事ができます。そこを大事にしていくことが産直活動の発展にもなるし、農畜産業の発展にもなるのじゃないかと思っています。
そういいながらも、情勢は逼迫している状況であります。この後の、パネルディスカッションの中で一つ付け加えをさせて頂いて、意見交換できたらな、と思っておりますので宜しくお願いします。以上で終わります。
 
 
 
 
2部 基調講演  松永和紀氏 
「鳥取から日本の食の未来をつくる!」
 
科学ライターの松永です。どうぞよろしくお願い致します。
今日お二人の発表を聞かせて頂いてやっぱりすばらしいです。鳥取で大山乳業さん鳥畜さんいかに素晴らしいことをしておられるか皆さんにぜひもう一度再認識して頂いて、ここから日本の食の未来を創るんだという思いで頑張っていただきたいという話をしたいと思ってやってきました。
最初に実は爆弾発言をしますと、実は私は産直大嫌いの人間だったんです。というのは産直20年の歴史がありますが、やはりちょっと歪んできたところがあると思わざるを得ないです。産直に関わっておられる生産者方にお話を聞くと、消費者は消費者の側オンリーで押し付けると言われます。自分たちの苦労をいかに農業が大変かを理解してくれなくて押し付けると。時々来て視察して何かえらそうなことを言って帰っていくだけだ。本当のことを知ってくれない。と生産者の方は陰で言っておられたりするんです。その一方でどこか生産者もきちっとした顧客をつかんでいるという甘えもどこかにあるような産地の方もやはりいらっしゃる。どうも頑張っていくぞというお話を聞けないことが多く、産直農家の方と話をしたときに聞けないことが多くて、でも消費者の方はお客さんだからはっきり言えないんだというような苦しみを私におっしゃるわけです。産直は良くない方向に行っているとずっと思っていました。ところが京都生協さんといろいろお話するようになり、勉強会に参加させていただくようになって、今日いらっしゃっている品質保証部の福永さんのお話をお聞きしたりして、鳥取は違いますよと、うちと鳥取の取り組みを見てくださいというふうにいわれたんです。お話をお聞きすると確かに違う。実際に見に来ようと思い、3月の半ばくらいに2日くらいかけて視察させていただきました。視察して説明をお聞きして、これはすごい、と本当に思ったんです。ここにお招きいただいたのでお世辞で言っているわけではなくて、これはすごいと思いました。私が思い描いていた、こういう畜産に日本がなったらいいんじゃないかと思っていた姿がすでに具現化したものとしてあった。ところがそれが多くの人にまだ知られていない。私は宣伝の役割を果たさなければならないと思っています。発表を聞きまして改めて思っています。繰り返しになりますが皆さんにもう一度再確認して頂き、その上で何をしていけるかということを考えていきたいと思います。
今日の話のあらましを簡単にご説明しますと、今みたいなお話をするんですが、その前にUSBAアメリカのほうで農業見通しがでました。2月にアウトルックフォーラム2008というのがあり、そこでアメリカの穀物が2008年はどうなるかということが発表になりましたのでご紹介いたします。というのは今、鳥取のお話をするわけですが、どうしてもここと繋がらざるを得ないんです。今日は生協の組合員の方も多いので、鳥取にいながらも鳥取の生産者の方たちが皆ここを見つめているという状況を少し消費者の方に知っていただきたいという思いで敢えてここでアメリカの状況をお話しします。その中でギョーザ問題とかいろいろありました。今、食料自給率を上げないといけないと言われていますが、そこにはたくさんの問題がありますので、改めてこの鳥取の農業の状況を踏まえてどうやって食料自給率を上げなければならないのかという話をしようと思います。それを踏まえると鳥取の農業の価値はこう見える。もしかしたら世間的に言われているものと若干違うのかもしれないです。そういう話をして、こういう見方があるよということをお話しします。もしかしたら皆さん驚かれるかもしれない。この後のパネルディスカッションのたたき台にして頂ければと思います。その上で消費者との協働と共に働く、これをどうしたらいいのかということを考えたいと思います。やはり農家の方々にもっと頑張っていただきたい。そして消費者が買い支える仕組みを作りたいということです。
さて、USBAアメリカの状況をごく簡単にご説明します。このデータは皆さんインターネットでご覧になれます。これをざっと見てみますと、やはり言われているようにとうもろこしの作付面積の伸びがすごいです。ところが今年は若干作り過ぎたこともあって少し下がっていて、その代りに多分上がるだろうと言われているのが大豆です。ただやはり先ほどからでているようにエタノールをかなりたくさん作っていて、これだけの生産量伸びを示しているので、これだけの量がトウモロコシの栽培、生産からとられてしまう。その残りを飼料とか食糧とかで使うということになってしまうので、高騰せざるを得なくなる。とうもろこしが上がるということは日本で売られる配合飼料も上がる、それからいろんな他の穀物も引っ張られ上がっていくということになります。それから小麦価格、暮れの高騰はすごくて一気に上がってしまいました。この状況をおそらく消費者の方はご存じない。上がっている、上がっていると言われてもこんなに値上がりしているということをおそらく実感はないだろうと思います。小麦だけではなくてとうもろこしも全部上がっているわけです。日本の畜産農家は苦しいに決まっているんですが、残念ながらそのことを消費者は実感ができていない。これだけ上がっていますからアメリカの農家は収入が増えているんです。政府が農業は価値があるものだとしていろいろな形で支えているんです。こういうことがきちんと見えないまま、アメリカは大規模だからコストが下がるんだとか、いろんなことを言われていますが、そもそも政策として農家をきちんと支えているというところがあって、そういう意味では日本の政府の日本の農家に対する支え方というのは私はむしろまだまだ少ないんだなあというような印象すら持っている程の、アメリカというのは農業国家なんです。ただ、アメリカの農家にとってもえさ代の値上がりというのはすごく大きな問題です。これは実は同じです。このフォーラムでもアメリカの畜産農家側からエタノールを使うのはいいけどこんなにえさ代が上がってしまったら自分たちはやっていけないという意見がかなりたくさん出たみたいです。ミルクと飼料の比率ですが、昔はミルク代が高かったのにどんどん下がってきている。この状況はアメリカでも同じ。もう一つはもちろん燃料代が上がっている。ただ見過ごされがちなのは飼料代。飼料代が高騰しているということは世界の農家にとっては非常に大きな問題になりつつあります。窒素肥料もすごく上がっていますし、リン酸肥料はなかなか手に入りにくい。肥料をどう確保していくかがとても農家にとっては大きな問題になりつつあります。ただコストは上がっているにせよ、フォーラムの議事録をみるとアメリカの農家はやる気満々なんです。頑張るぞ。やっていくぞという感じです。その一つはビーフ、ポーク消費量が世界的に上がっていることがあげられます。ビーフはちょっとずつ上がっていますけれども、ポークは伸びはものすごいです。こういうふうに世界の人口が増えてそして贅沢になって、肉の消費がどんどん上がっている。そのなかで、頑張ってトウモロコシも作る、大豆も作る、やっていくぞというような、さらに儲けていくぞというような意気込みがアメリカの農家にはあると思います。私もアメリカに言って取材して感じるのは、やはり誇りがあります。農業生産していくにあたって本当に胸を張って、自分たちはすごいことをやっているというような誇りが全面に出てきます。食料を作り、エネルギーまでも自分たちで作っているというような、自分たちの価値をきちんと評価できている。残念ながら、日本の農家の方にお話を聞くと、誇りというのがなかなか感じられない方がいらっしゃる。そこを私は甦らせていただきたいと思います。もうひとつ、フォーラムで穀物相場の今後を占う数字がでております。丸紅の方がこのフォーラムに行って、印象としてこの数字がとても重要だということで出してきたものなんですが、過去10年で世界の人口が13%増加しました。それからトウモロコシの需要も32%上がっています。大豆の需要は59%上昇。しかし、ここ10年で世界の作付面積は4%しか上昇していない。つまり、畑の広さというのはそれほど変わっていないのです。だけど、人口は増え、そして生産量を増やしていく、ということは収量をどんどん上げているということなのです。より効率的に狭い面積でたくさん作るという方法がすでにできているんです。この努力というのはアメリカの農家はすさまじい。それと企業も。このフォーラムの中でお話としてでてきたのはデュポンという種子とか農薬を取り扱っている企業が2018年、10年後には収量を現在の4割増を実現しますと宣言されました。目標を掲げてそこを目指す。メーカーも生産者も目指す。そういう意気込みでアメリカ農業というのは進んでいます。その努力がどうも日本の方には見えないままなんとなくアメリカは悪いとか言って、それで日本はどうだというような議論にどんどん収斂していってしまう。向こうの努力も認め、日本も頑張ろうよという気持ちを私たちも持っていかなければならないし、消費者も応援していくという気持ちを持たなければならないと思いました。そのアメリカの状況を見て国内の農業を考えるとやはり危機感を感じざるを得ないだろうと思います。生産量は上がっているけれども消費量も増えて穀物の価格が上がっている。その中で日本はどうしたらいいのか。食料自給率は39%という数字がでています。それでいいのか考えなくてはならない。ギョーザ事件が起きて、テレビニュースなどで日本の食料自給率が危うい、海外に依存しています。これではいけない、安全を守るためにも国産を復活させなければならないというニュースがたくさん出ました。ところが、今はもう忘れてしまっている。なんとなくもう忘れてしまって、冷凍食品の消費量は復活し始めていて、メディアの関心はもう全く違うところにあります。全く他の問題になってしまって、あの餃子事件ですら、日本の食を変えるということはなさそうだなと思っています。もともとは餃子事件も実はメディアの曲解、誘導という印象が大きい。もともと実態の合わない中国批判だった。原因はおそらく犯罪ですよね。餃子を分析したらメタミドホスが2万ppmもあるということがわかったと2週間前くらいにでましたが、こうなるとたぶん原液をかけたという濃度になりますのでおそらく犯罪です。ところがメディアは犯罪と普通の農家の残留農薬とを一緒にしてしまって、中国は危ないというような印象を植え付けて、日本の食が揺らいでいる、あんな危ない中国に食を依存していると報道した。でも犯罪と中国の農業生産のレベルというのは話が全然違っていて、犯罪者というのはどこにでもいるわけです。日本で頑張っていても誰かが犯罪を起こすということは十分あり得るわけです。例えば、和歌山ヒ素カレー事件が起こって、その後に日本の食品全部がヒ素に汚染されているといわれたら、皆さん怒りますよね。それと同じ論理展開で中国批判を繰り広げてしまった。おかしいぞと気づいてしまったら、多くの消費者はまた安い中国商品に戻ってしまった。その本質を見極めないとまた戻ってしまって日本の食料自給率をいかに上げるかという話になかなかなっていかないんだろうと思います。残念ながら、現状そうなってきてしまいました。しまいましたといいきってしまっていいのかどうかわかりませんけれども、どうもあの話の本質を私たちは捉える事が出来なかったと思います。そうではなくてもっと本質的な、どうして日本は国内農業振興しなければならないのか、食料自給率を上げなければならないのかというもっと本質の所を議論しなくてはならないと思います。単純な食糧安全保障、確かに今までずっと述べてきたような危うさがあって、あげなくてはならないとは思いますけれども、私がむしろきちんと改めて問い直したいと思うのは、環境を守るということと、もうひとつ改めて言いたいのは、農林水産業は人の心を豊かにするということです。環境保護については後回しにして、この人の心を豊かにするということに一言付け加えると、科学ライターとしてはあるまじきことかもしれませんが、やはり自分の身の回りで命をはぐくんでくれる、農業がある、緑の稲がある、生き物が育っている。その恵みを私たちが頂いているという、その感覚というのは人の心において、また社会の豊かさにおいて非常に重要なことだと思います。あまりにも議論というのがでてきていない。改めて言わないとこういうことに気がつかない状況になっているという、これはやはりおかしいんだろうと思います。ですからこのことを考えると無条件でもっと農業を振興しましょうよ、もっと農家に頑張っていきましょうよとストレートに理屈抜きの感情で言ってもいいんだろうと思うんですが、なかなかこのことが今語られなくなってしまった。ちょっと残念なところに今あるように思います。
環境の話、科学ライターらしい話をこれからしようと思います。循環系を構築するという話、これは幅田組合長、鎌谷組合長が異口同音というか言い方は違えど同じことをおっしゃっておられたように思います。消費者にはもしかしたらわかりにくいと思いますので改めて説明しますと、残念ながら養分の循環が日本では完全に切れてしまっているということです。通常は、トウモロコシや小麦などのえさがあります。それを食べてお肉、卵、牛乳を一部頂いて、家畜の糞尿が大地に還って、その糞尿の養分を生かして小麦やトウモロコシを栽培して大きくなってさらに食べさせるというような循環が成立しなくてはならない。ヨーロッパはこの循環を成立させるために、たくさん飼うとその糞尿が大地に帰ったときに糞尿が多すぎて養分が過剰になってしまうので、持っている畑の面積に合わせて飼育頭数を決めるという国としてそういうシステムを取っている国もあるくらいで、そういう形で養分をぐるぐる回していっているわけです。ところが日本は飼料の自給がほとんどできていないので、残念ながら家畜糞尿をそのまま環境中に放出してしまっている。牛肉を1キログラムつくるためにはトウモロコシに換算すると11キログラム与えなければならないといわれています。ということは肉1キログラムとったときにはトウモロコシ10キロ分は糞尿になって出してしまっている。それがそのまま環境中にでていってしまっているということになるんです。それから豚も同じです。豚肉1キログラムを作るには飼料がトウモロコシ換算で7キログラムいるといわれていますので、6キログラムは使われずに糞尿に含まれて環境中に出しまっている。どうしても畜産というのは糞尿として出す分がありますので、そこを糞尿として出したものをいかに上手に使って回していくかということが環境を守るということにおいてはとても大事です。ところが日本は切れてしまっている。これは京都大学の私の恩師が窒素というかたちで数字をだしています。飼料を輸入品として入れる、国産を私たちは食べたい、これだけ食べて廃棄する量が81万トン、61万トンありますということなんです。それをどうしているかというと、糞尿、下水処理場、食品加工残さをきちんと利用できているかというとあまりできていない。畜産の方の糞尿もなかなかうまく利用できていない。それが環境中に出てしまっていますよということなんです。養分が多すぎてしまいます。一方的に輸入されて、輸出はなかなかできませんからどんどん餌という形で輸入されて国土に養分がたまっていくというような構造であって、そこからなかなか抜け出せないんです。ではこれをどうすれば良いかというと、やはり輸入分を減らさなければならないんです。まず入ってくる分を減らします。出てきた分も上手に利用して飼料を育てるところに持って行って活かしてその上で少しずつ回転をつくっていく。最初はごくごく細いルートだとは思いますがそれをどんどん大きくして入ってくる分がないくらいになったらいいなと。それはなかなか無理ですが、それにしてもぐるぐるまわる循環の体躯を大きくするような動きをつくっていかないとおそらく日本の環境というのは守れない。富栄養化、環境汚染は食い止められないだろうと思います。
実は人が生きるということはまずストレートに環境破壊です。人は環境を破壊しないことには生きていけないです。いろんな形で環境を損ないつつ生きていくんです。それが現実です。その事実を踏まえて私たちは何をできるかということを考えなくてはならない。そうすると先ほど申し上げたように、養分の海外からの流入を少しずつ減らしていく。それからそのまま環境中に出していっている養分というのを少しずつ減らしていってそれを飼料生産などに活かしていかなければならないです。自然の力を活かし、科学技術も上手に利用しながら先ほどの循環を創っていきたいと思います。この話をしたときに消費者の方からよく言われるのは、昔の生活に戻ったらいいんですよねと言われるんです。肉を食べなければいいんじゃないかと。日本人は昔こんなに肉を食べてなかったと。肉がこんなに効率が悪く、しかも肉食は体に悪いというイメージがありますから、肉なんてもう食べなければいいんじゃないかとぱっと言われるんです。昔の日本人の健康体を取り戻しましょうと。どうもそういう流行が最近はありますが、実はあれは嘘なんです。はっきり言うと、肉を豊富に食べられるようになったから健康になったんです。日本人はこれほど健康になっている。これが事実なんです。肉の食べ過ぎはもちろんだめですが、ほどほど食べていくということは日本人の健康をあげていくということに繋がっています。平均寿命は戦前は日本人の平均値はだいたい40代で、40年前でもやっと60歳代になったくらいです。ところが今80歳代ですね。女性は今85くらいが平均寿命になっています。これだけ平均寿命が延び、私たちが健康に暮らせるようになったのは、ひとつは衛生的になり、病気で命を落とさずにすむようになったというような医療体制が充実したこともありますが、何より重要なのはやはり栄養が良くなったことです。きちんと食べられるようになった。良いものをバランスよく食べられるようになった。良質のたんぱく質を摂取できるようになった。良質な脂肪を食べられるようになった。それが日本人の今の健康に繋がっているわけです。そうするとやはりここに矛盾が起こります。人が健康に生きるためには肉も野菜も卵も牛乳もきちんと食べていかなくてはならない。けれども畜産はへたくそな畜産をすると環境に悪いということにもなってしまう。ここを上手にクリアしていかなければならない。知恵をしぼって上手に暮らす、上手に農業をしていかなくてはいけないわけですね。ですから、単純に昔に帰るとかそういう議論をしても意味がないことを消費者に知っていただいたうえで、次に何をやるのかということだと思います。
消費者の方に今のような話を説明する中で、まず日本はお米の国と思っていますけれども違いますよということを説明しています。900万トン消費していると言いながら、実はトウモロコシを1600万トンも消費している。日本は実はトウモロコシの国なんですよという話をします。トウモロコシのシェアはアメリカが94%なんです。つまり、日本はアメリカの掌の上で転がされているんです。残念ながら国内畜産の現実は、粗飼料の自給率は74.5%でほどほどありますが、穀物、トウモロコシなどの濃厚飼料の自給率は10.8%しかありません。これがどういうことかというと、消費者はBSE問題でアメリカ産の牛肉はBSEが発生しているかもしれないから国産の牛肉を食べましょうと言って、アメリカ産はいやだと言ったわけですが、実はアメリカ産の牛肉を食べなくてもアメリカ依存は同じなんです。肉を食べるか、餌として食べるか。そのどちらかしか今のところ選択肢はないんです。なのに国産牛肉を食べながら、私は日本農業の為に良いことをしていると、国産志向だと胸を張っていいんですかと消費者に言っているんです。さらに一歩進んで考えて下さいと申し上げています。飼料を国産にしなくてはいけない。しかし日本は濃厚飼料栽培に不向きです。あんなにきれいなトウモロコシ、大豆を日本で作れるかといえば作れない。気候、風土が不向きなので、品質的に良いものは作れません。それから生産コストもものすごく上がります。そうすると濃厚飼料を食べさせずに育った肉とか牛乳を食べましょうということになります。霜降り肉よさようなら。濃厚牛乳よさようなら。これを消費者はできますかと聞くんです。さらに、消費者は思考を変えて霜降り肉ノーでいいですと言ってくださったとして、「次は誰が牛を飼いますかという問題がでてきますよ。誰が牧草や飼料米を栽培しますか。今、農家は危機的ですよ。高齢化が進んで、もう10年先にはやってくれる人がいないかもしれませんよ。」さらに、「最終的に消費者が直面しなくてはならないのはコスト削減にどれほど努力してもやはり国産牛肉は高いです。アメリカ産の牛肉に比べるとやっぱり高いです。そこであなたは環境に良いから日本の国内農家を助けられるから高い国産牛肉を買いますよというふうにそういう選択ができますか。」ということを消費者に問いかけています。そうすると消費者はうーんとうなだれて、やはり高いのはいやだというような本音がでてくるわけです。なんとかしたいけど、2倍3倍の国産牛肉は買えない。困ったというふうに途方に暮れてしまうわけです。今までそういう話を一般の消費者の方にしてきました。
ところが本当に私が恥ずかしいなと思ったんですが、こういうコンセプトで鳥取は実は走り出していたんです。鳥取がここまでの取り組みをしておられるということを知らなかったんです。こういう話というのが全部先ほどの鎌谷組合長の話に実は出てきているんです。サシ入りではなくて赤い肉を買うとか、そういうようなお話もきちっと入っていました。あーすごいなーと改めて思いました。鳥取農業の価値を私はこういうふうにみます。「うまい!その割に安い!」誤解を受けそうなので説明しますと、超高級牛肉とかものすごく良い味というものはあります。超高品質を特定者に馬鹿高い価格で売る生産者はたくさんいるんです。全国探せばいくらでもいる。こういう人たちはテレビに出てきますよね。私はこんな良いものを作っていると。無農薬だ有機だ。いろんなことを言われますよね。こういう方たちは私は商売人かな、趣味の域に達しているかな、もっといえば宗教かなと思うときもあります。実はこういう方たちは何百人くらいかはいて、きっちり儲けておられる。高品質をほどほどに大量生産する。それを庶民の手の届く価格にする努力はなかなかできない。これは一番難しいんだろうと思います。私から鳥取農業、大山乳業さん、鳥畜さんの取り組みを見たとき、まさしくこれをやっているなということが見えてきたわけです。高くないですよね。大山乳業さんの牛乳はちょっと高めかもしれませんが、でも手の届かない価格ではないです。でも高品質ですよね。これは間違いなく言えると思います。一番難しいことにチャレンジしておられる。これは素晴らしいと思いました。さらに健康、環境きちっと押さえておられた。先ほどの発表でよくわかりました。もうひとつ言えるのは、消費者迎合をしていないですよね。ビジネスをしっかりやりつつも消費者の志向、考え方を変えていこうとする力が、先ほど鎌谷組合長が言われたサシじゃなくて赤身の肉を食べていく、おいしさの価値観を変えるというそこまで見据えてやっている生産者はまだいないのではないかと思う。それを2001年の段階でそういう発想で取り組まれた。そこには京都生協さんとか他の生協さんのお力、バックアップも多分あったというふうに思いますが、それを早くも初めてもう7年8年たっている。これは素晴らしいことだと思います。その気持ちを生産者の方にお伝えしたいと思います。
この前視察したときの写真ですが、これはおからを管理していらっしゃる。明日皆さんご覧になると思います。これは飼料稲を刈り取って乳酸菌をいれて発酵させたもの。これも明日見せていただけると思います。これは本当にいいにおいがします。ぜひ皆さんもにおいをかいで頂きたいと思います。これだったら喜んで牛も食べるかもしれないねといういいにおいです。この牛を見てびっくりしたのは、牛がきれいなんです。ほかの所に比べても、何が違うのかよくわからないのですが、本当に毛づやがいいです。こんなふうにきれいな牛をこんなにゆったりと飼って頂ける、これも素晴らしいなと思いました。たぶん皆さんも明日行かれて、改めて実感されると思います。その上で、きちんと衛生管理された所で一生懸命皆さんが働いて食肉加工をしておられる。トレーサビリティーもきちんと確保しておられる。すごいと思いました。
今やっと日本でも言われ始めた動物福祉。動物も権利があって人のためにむちゃくちゃな飼い方をしていいわけがない。ゆったりとのびのびと生きる権利があるということを鎌谷組合長は考えながら組合を引っ張っておられるというふうに思いました。
私が申し上げたいのは、これを走りながら考えておられる。とにかく実践する。消費者に商品を届ける。その中で、より良いものをきちんと志向していかれる。これが素晴らしいと思います。決してメディアうけとか誰から評価されようとかそういうことではなくて消費者に向き合って良いものを届ける。そして明日はもっと良いものを明後日はさらに良いものをという動きをしておられる。これはなんといっても素晴らしいことだと思います。
ここまでみると、宣伝隊になるというか頑張ってください応援してますというふうに申し上げる気持もたぶん皆さんわかっていただけると思います。そこから先、なかなか難しいことがいろいろあるんですけれども、お願いがあります。まずはものすごく良いものを作っている、日本の農業、日本の畜産のモデルなるようなことをいまやっておられるということを誇りを持って胸を張って言って頂きたいんです。良いものを生産して売っていってほしいと本当に痛切に思います。その上で、もうひとつお願いしたいのは、イメージ商売に流れていただきたくない。消費者の妙な安全安心志向に迎合したイメージで商売する生産者の方がかなりいらっしゃいます。そうではなくて、科学的な健康であったり高品質であったり環境保全、ここをきちんと押さえていきたいというふうに思います。それから消費者、生協の方にお願いしたいのはいいものに感謝する、褒める、買うこういうシンプルな消費行動をとり戻したいというふうに思います。私自身が消費者です。生協にも入っていて、生協の商品も利用しています。その中でやっぱり忘れていたなと思うことは、まず食に対する感謝ですよね。ものを見たときにここのあれが悪い、ここが悪い、ここを改善しなければというような目で見るのではなくて、すごいですね、本当に良いものを作ってくださっているんですね。ありがとうと、その気持ちをまず消費者が持つ、まず最初に持つ、その気持ちが消費者にかけているんではないか。そこから出発するというシンプルな消費行動を改めて取り戻して、それを始めなくてはいけないんだろうと思います。その上で両者一緒に立って、もっと宣伝上手になりましょうということなんです。非常に価値あることをしておられるわけですから、この動きを全国に発信して、全国に広げて、日本の畜産を変えていかなければいけない。それは皆さんが日本農業における義務なんです。皆さんの力で変えていくということは皆さんの責任であろうと思います。これは日本の農業を変える原動力になっていくと確信しています。ぜひ、お願いしたいと思います。
あと、科学ライターとして、皆さんにぜひ知っていただきたいところを申し上げます。最近気になっているのは、イメージ商売に流れている、科学的な健康、高品質、環境保全ではなくて、なんとなく嘘の安全とか環境に良いという話が今たくさんあるんですね。それは、残念ながらメディアが流している。私も科学ライターとして、月刊誌や週刊誌に書いたり、メディアの端っこにいるんですけど、やっぱりメディアはおかしくなっている。皆さんもそれぞれお感じになっていると思いますが、日本の農業をどんどん歪めてしまいます。それを皆さんに意識して頂いて、おかしいよということをそれぞれに言って頂きたいんです。どこがおかしいかということを申し上げますと、残念ながら消費者迎合主義が蔓延しています。消費者が非常におかしなことを言っているにもかかわらず、消費者の主張を守れば安心安全みたいなそういう扱いをメディアはしています。それはおかしいです。それからもうひとつ、安全安心が科学的ではなくなっています。科学的にはちっとも安全でないものが安全だと受け取られているところがあります。
実は非常に困った事に、知事がおっしゃったことがおかしいんです。私の見方なので、知事がおっしゃったことが正しいかもしれないです。両方の考えを頭に入れてこれから先売っていただきたいという問題提起をします。実は先ほど低農薬、無農薬という話が出ましたけれども、有機農薬、農産物が安全かどうかは科学的には不明です。具体的に言うと、農薬が使用されていても、収穫された作物からは残留農薬が検出されない場合が多いです。というのは現在の農薬というのは非常に分解性が上がっていますので、使ったそばからどんどん分解していくんですね。ですので実は農薬を使っていても店頭に並んだ段階では、店頭に並んだ5割〜6割のものは農薬が検出されません。そうすると、無農薬栽培したものと同じになりますね。無農薬栽培したものも農薬栽培したものも私たちが食べる時には安全性は同じになってします。でも農家の方のご苦労というのは全く違います。日本は高温多湿ですので病害虫が非常に発生しやすいです。ものすごく生産者の方はご苦労しています。ここでちょっと農薬を使えば簡単に防御できるのに使いませんという農家の方がかなりいらっしゃる。そういうご苦労を考えたときには私は日本で無農薬で農業をしていくというのは無理だと思うんですけど、その現実がなかなか消費者の方には理解がされていないということがあります。それからもう一つは、無農薬栽培された植物は体の中で病害虫を防御するための物質を産生している可能性があります。植物学者はほぼ作っているという風に言っています。どういうことかというと実験がありまして、無農薬栽培したりんごと農薬を使って栽培したりんごを持ってきてたんぱく質を抽出して調べてみたら無農薬栽培されたりんごの方にはアレルゲンがかなりたくさん入っていた。農薬をきちっと使って栽培されたりんごからはこのアレルゲンは検出されなかったという事例がある。これは近畿大学の先生が実験しておられますけれども、何回やっても同じになるそうです。これは消費者の今までの常識とは逆ですよね。農薬使ったものはきっと体に悪いに違いないということで、たとえばアトピーを持っているお子さんには無農薬のリンゴを食べさせるというような消費行動を多くのお母さんたちはしているわけですけど、もしかしたらそれは違うかもしれない。それはどうしてかというと、植物というのは手足がありません、逃げられません。病害虫から襲われたら食べられっぱなしになるわけです。それで長い時間すごし、進化の長い歴史の中で植物というのは生き残っているわけです。生き残ってきたものが今植物としてあるわけです。どうして生き残ったかというと、おそらく植物は自分の中で病害虫に毒になるようなものを作りだして、それを病害虫に食べさせて病害虫を追い払うとか死なせるというメカニズムを作っていっただろうというふうにいわれています。そうすると、毒物を作る食べさせるおっぱらうというサイクルになるわけです。農薬を使うとどうか。病害虫が襲ってきたときに農薬が病害虫を殺してしまうわけですから、植物はそこまで頑張らなくていいんですね。非常に過保護に育てられてすくすくと自分の体の中で特別な物質を作らなくてもよくて過保護な状態で暮らしていく。農薬を使っていないと自分の力で頑張る。ちょっとした毒物を作っていく。そういう力が植物にはありますので、結果的に病害虫用の毒物が人間にも悪い働きをする場合があるということなんです。必ずしも悪い働きをするわけではなくて、良い働きもするんですね。そういうものが人間にとって医薬品なる場合もあります。なにかしら作ってしまった物質が人間にとって良いものになるか悪いものになるかはわからないので、必ずしも無農薬栽培だから有害であるとも言えないわけです。いずれにせよ何かできている可能性があるからそれがいいものかどうかはわかりません。別の言い方をすると、農薬を使っていないので農薬というリスクは上がりません。しかし、その場合に植物の中で、別の物質を作っている可能性があります。農薬は農薬のリスクがない代わりにそれが人のリスクになるかもしれない。リスクが片方が減って片方が増えているわけです。こういうのをリスクのトレードオフという言い方をします。これが起きているかもしれないものが無農薬農産物なんです。現状は農薬だけをみてリスクが低いと私たちは思いこんでいる。しかし科学的にどちらが安全かはわからないんです。ですから科学的には不明ですと申し上げているわけです。
でも多くの消費者は農薬を使っていないから安全だと思ってします。ここに気がつかなければならない。植物の力はすごいのでなかなか人には予測がつかない働き、動きをしてしまう。
もう一つは、どうしても畜産堆肥を上手に作らないとO157が堆肥の中に残っていたりします。牛はO157を持っていますので、牛にはどうもないけど人間の口の中に入ると有害になる場合もある。そういう有害微生物もある場合もあるということなんです。実際に日本の店頭で買った有機の農産物からO157が検出されている例が学会で発表されています。それもちゃんと洗えばいいんです。加熱して食べればいい。ですから大きなリスクではないんですが、こういうことをいろいろ考えた上で安全かどうかを評価していかなければなりません。
イギリスでは環境大臣がオーガニックフーズがより健康的であるとする証拠はない。選ぶかどうかはライフスタイルの問題だと発言しています。法的にも有機農産物はより健康的である安全であるというふうにいうことは禁じられています。フードスタンダードエージェンシーという日本の食品安定委員会のような機関の主任研究官もより安全であるとか栄養があるということはありませんと見解として発表しています。こういうことを踏まえると無農薬だから安全であるということではないんです。日本は高温多湿で農家の方は大変ですので私は農薬の必要があれば必要最小限使うという農業が日本ではより現実的ではないかと思っています。その際に重要なのは、適正使用です。きちんと適正に使えば残留農薬については全く問題ないということが確かめられていますので、きちんと決められた使い方をしていただきたい。
それからもうひとつ廃棄された有機物を堆肥にして土に戻せば解決かといえばそうではない。先ほど言ったような有害微生物の問題もあって良質の堆肥を作らなくてはいけないですし、堆肥を使うときに問題になるのは運搬コストと運搬エネルギー負担なんです。やはり畑に入れるというのは大変なことでコストもかかります。こういうことも消費者はしらなければいけないだろうと思います。それからもちろん農家にも労働力が必要です。お年寄りの農家に堆肥を使えと言われてもなかなかうまくいかないんです。お年寄りには簡単に使える化学肥料を上手に使うというような指導もあっていいと思いますが、消費者の方から見たときには、化学肥料はダメ、有機肥料マルというような非常に単純な二元論で語ってしまうところがあります。こういうことも気を付けて、科学的にはどちらが妥当なのか、現実にできることはなんなのかということを消費者にも知っていただきたいと思います。
実は国産小麦は環境にやさしくないというデータがでています。皆さんもしかしたら国産小麦は環境に良いと思っておられるかもしれませんが、そうそう簡単ではないです。皆さんにお伝えしたかったのは、安全を守り、環境を守る農業は簡単ではないということなんですね。有機であればいいとか、無農薬であればいいとか、あまりにも単純に語られ過ぎている。これを使えば安全とかここで作れば安全とかあれを使わなければ環境に良いこれはもう駄目です。生産者の皆さんはわかっているんです。幅田組合長も鎌谷組合長もここで四苦八苦しておられる。何か一言で語れればメディアもパッと飛びつきます。でもそれは科学的ではないし、本当の環境を守る農業ではないです。だから言えない。そうするとなかなかアピールする力がなくなって多くの人に伝わりにくいということが非常に大きな悩みとしてあるんだろうと思います。ですので、お願いしたいのは消費者も本当のところをみていただきたい、なかなかやさしくはないですが、きちんと話を聞いて理解して共に学んで知恵を絞ってという努力をしていただきたいんです。それを理解できるにはやはりこういう形で皆さんのようにこの場に来て頂く方から情報を発信する。他の消費者の気持ちを変える動きを地道に少しずつしていかなくてはいけないだろうと思います。
価格の話は怖くて資料には書けませんでした。話せるかなというのがわからなかったんですね。やはりより良い安全とか環境を守るとか考えたときにどうしても価格の上乗せは必要なんです。やはりお金がかかるんです。そこをいかに消費者が理解できるかがこれからの日本の農業振興の鍵になっていくと思います。改めて強調したいんですが、そもそも日本の地理条件というのは海外との価格競争には絶対勝てません。これははっきりしています。アメリカ産の方が安いから、国産の方が高いからというのはナンセンスなんですね。こんな競争をしても意味がないです。今の飼料価格の高騰も踏まえて、環境コスト、生産者の方が再生産できるコストというのをいかに価格に上乗せできるかなんだと思います。消費者の覚悟が必要なんですね。その覚悟があって、はじめて生産者の方も頑張るぞとなるんだと思います。
もうひとつ申し上げたいのは、サシの入った牛肉は価値観を変えるよというふうに鎌谷組合長はおっしゃいました。もうひとつ高脂肪の牛乳は良いのかということにもふみこまなければだめなんだろうと思います。これも先ほどの幅田組合長のお話とちょっと違うところですよね。欧米を見ると高脂肪の牛乳は売れないんです。脂肪分があまりにも多すぎるということで脂肪分を抜いて低脂肪乳にして飲んでいるという国が多いです。子供にも低脂肪乳を飲ませているというのが欧米の主流になりつつあります。そういう観点からすると、日本も無理して配合飼料、濃厚飼料をたくさん食べさせて、高脂肪の牛乳を作るということからもうそろそろ転換を考えていってもいいのではないかなと。生産者からその動きを作るというのは難しいかもしれませんが、消費者がそういう意識を持ち始めてもいいのではないかなと思います。鳥取農業はこういうことをきちんと考えられる、生産者のお気持ちというのはできているんですね。後は消費者がどういうふうにそれを支えていくかだと思います。買うことが、あなたたちの行動を支持しますという意志表示になると。これを改めて消費者として考えたい。消費者が農業を支援するというと、なんとなく現地に行って例によって視察して頑張ってくださいねと言って帰って行ってあとは安い肉を買うということなんですね。どうしても今までそういう行動でしたよね。それでなんとなく良いことしてるような気分に私自身消費者としてなっていたように思います。そうじゃないんだとこういう場で本音で議論して本当の消費者の役割はなんなのということをやはり考えていきたいというふうに思います。余計なことをたくさん言ったのでお怒りの方もいらっしゃると思いますが、この後のパネルディスカッションでご意見をいただきたいというふうに思います。
農薬に関する考え方も本に書いておりますので、目を通していただければと思います。意見を言いたいという方は、ぜひメールでご意見下さい。私も皆さんのご意見を頂いてもっと勉強してさらにより良い情報発信をしていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いします。
 パネルディスカッションのたたき台にして頂ければというふうに思います。宜しくお願い致します。
 
15:35〜休憩 15:50〜再開
 
 
 
 
3部 パネルディスカッション
 
コーディネーター 松永和紀氏  パネラー 河原正彦氏
                パネラー 福永晋介氏
                パネラー 幅田信一郎氏
パネラー 鎌谷一也氏
 
松永:これから5時半まで長いですがかなり討論できると思います。まず、鳥取県農業のお話と河原部長から、京都生協のお話を福永さんからそれぞれ15分程度お話して頂いて、さらに幅田組合長、鎌谷組合長それぞれご意見いただきたいと思います。それで、その後5人でディスカッションさせていただきます。その後会場のご意見、ご質問をお受けしようと思います。おそらく1時間弱会場からのご意見をお受けできると思いますので、ぜひ活発にご意見いただきたいと思います。
   それではまず、鳥取県の農業についてもう少し幅の広いお話をして頂けると思います。河原部長お願い致します。
河原:宜しくお願いします。実は今、松永さんの話を聞いて、日頃農政を担当しているものとしてなかなか言いたいけど言えないなということをだいぶ言ってもらって、7割くらいはスカッとしています。お言葉に甘えまして、有機特栽の話がでましたので少しお話させていただきたいと思います。松永さんのおっしゃった通りだと思います。ああいう側面があるのかなと、本当の意味での安全というのは農薬や化学肥料のことだけではないというのはその通りだと思います。ただ、鳥取県は今年から有機特栽に少し力を入れました。これは、先ほど松永さんがお話しされたのは全く我々の考え方で、行政としては有機とか特栽どちらかというと特別な方、思いがある消費者の方、思いのある生産者の方がやられるものであって、国全体で考えたとき安定して作物を作るということが一番大事ですから、有機特栽のほうは置いておいたというのが実情でありますが、実は日本の農産物の流通とか消費形態がずいぶん昔と変りました。昔はほとんど大阪、東京の市場に出荷して大量にものが出ていって、そこで規格化されたものがでていくという時代でしたが、今は市場出荷のほかに皆さんご覧の通りいろんな流通ルートができている。その中にいろんな要求ができてきた。食べ物を選ぶのはあくまで消費者ですからいろんな要求がでてきた。そうするともう少し選択肢を増やすことも応援していくことが必要ではないかということで以前から鳥取県では有機特栽を県で認証、前は民間認証でしたけれども、検査員を設けて県が認証をできるようにしております。それに加えて研究分野でも有機特栽の研究をしようと、試験場に今年から新たに有機特栽研究所をつくりました。なにをやるのかというと、有機特栽は役所の方では実は技術がありません。ほどんど民間が試行錯誤でいろんなことをやって、農薬を使わない、化学肥料を使わないということでやってきている。民間の方を科学的に研究員が実証していく。また、さらに良い方法がないかを研究していって、技術面からも応援していこうと。それから有機特栽を新たに取りかかろうという人が相談できる窓口を設ける。有機特栽をすると除草機がいるんですね。そういった機器に対しても補助金をだそうということで、今年から分厚く施策をうちやっていますが、ただこれが今後の絶対の方向ということではなくあくまで選択の問題だということでやっておりますので、知事もそういった趣旨を選択しながら皆さんにごあいさつしたということであります。
私の方からは鳥取県農業についてということでありますが、今日のテーマは日本の食の未来ということで少し私の食に関する感想といいますか普段感じていることをお話しさせていただきます。ズバッといって、私は個人的にも日本の食、食料というのは少し病んでいるのかなと、一方的な見方かもしれませんが思っています。日頃自分の食生活を見たときに、たとえば私280円の弁当を食べているんですね。これを、昼休みに頂きながらみると15種類から20種類くらいの素材が使われています。これは人間の手で作られたものあるいは海から取ってきたもの、いろいろありますが、15種類の生産されたものが使われて、調理をされて、詰め込まれて、運んでこられて280円なんです。こういう感覚は今の日本の消費者、我々に一般化されてしまった。裏返せば最初から食料は海外に依存するぞということを前提に成り立っているわけであります。もうひとつ感じますのは、我々の日常の家庭での食生活をみて、ほとんど洋風の料理をアレンジしたような食事をたくさんとっています。中華料理、イタリア料理、アメリカ料理、ほどんど外国の食生活を身近に戦後取り入れてしまった事実。こういったものはもともと西洋で作りやすいもの取りやすいものを基にした料理なんですね。これをとりこんじゃったわけです。やはりそれは海外に依存してくるということであります。これが良いことなのか悪いことなのかという考え方はいろいろありますが、現実はそうなんです。先ほどからずっと言っていますけれども、海外に依存するということはいつまでたってもお金で食べ物を売ってもらえるのかということがあります。日本も貧乏になります。それから餃子の話がありました。さっき餃子の話もでたんですが、私の見方はちょっと違っておりまして、何が問題かというと世界中いろんな文化を持っているということです。日本ではその前に食品偽装がたくさんありました。どうなるかというとすぐ調査をされて責任が明らかにされて善後策がでて、懲らしめられてもう二度と立ち上がれないようになるくらいの仕置きを受けるわけです。だから、抑止力が日本では働いています。しかし、一歩海外へ出ると、どこかの国みたいに、これが犯罪だったのかよくわかりませんけれども、要は情報がはっきり出てこないわけです。結局最後はなんだったかよくわからないということで終わってしまうんですよね。逆に日本の方が悪者にされたりすることもあるわけです。また他の国に行くとまた違ったことがあるわけです。日本はどちらかというと純粋培養で非常に子羊のような育ち方をしているんです。日本の方がどちらかというと国益というものに対して思いが希薄という感じなんです。だからいざ何かあったときには今のように安く大量に入ってくるかというとこれはほどんど期待しない方がいいのかなというふうに思っています。それから、食料がこんなに潤沢にあるという時代が50年、100年続くというのは今まであまりないんですね。戦争だったりいろんなことがあったりしました。だから、あまり楽観視をしない方がいいのかなと思っております。そこで自給率が39%、穀物自給率は27%くらいだった気がしますが、これを大変だと表面的に言う声はたくさんでますが、実は私は自給率の問題というのは消費者サイドの問題だと思っています。自給率というと我々農業振興サイドに目が向いてくるんですが、やはり消費者サイドの問題です。どういったものを食べるかですね。先ほど松永さんのお話がありましたけれども、日本で作りにくいものを食べればおのずと自給率は下がってくるわけです。だから日本でとれたものをなるべく食べようよ、という気持ちがないようでは食糧自給率の向上というのはそんなに簡単ではないだろうと個人的には思っております。
そこで日本の農業はどうあるべきかということですが、私は日本の農業を考えるときに考えなくてなならないことが3つあると思います。1点目は、良く皆さん日本の農業は高齢化して後継者がいないという話がすぐでますけれども、私はこれは結果だと思っています。儲からない、収益が上がらない、生活ができにくいからする人がいないわけですから、1番目に考えなければいけないのは職業として収益性があてになる農業が一つの視点で大事だと思っています。2つ目は、生命産業としての農業です。これは食べ物を作る産業ですから、機械を作るとかそういった工業とは一線を画した産業であるという視点が必要だと思います。したがって、こういった視点からすればセーフティネット、先ほど最後にでました、どんなに頑張ってもとくに土地利用型においては日本の農業はコスト面で負けてしまう。だけどもそれがなくなっては国民にとって大変なことだということで国がしっかりとしたセーフティネットをはるということです。日本で作りやすい必要な食物についてはしっかりとセーフティネットをはってそれを作った人はそれで生計がたてれるんだということが必要だと思います。今も国の方も努力はされていますが、まだまだ十分ではないのかなというふうに思っています。なぜ十分ではないのか、これはまだまだ消費者の意識が変わっていないからだろうと思ってまして、このあたり消費者の皆さんのご理解が得られれば国の方ももっときちんとしたセーフティネットを打ち出していけるのではと思っております。
最近思っていますのは、昨年の参議院選挙で、ずいぶんと農林省の考え方も変わってきた気がしております。効率性だけでやっていかなければならないということだったのが、やはり日本の農業それだけではもたないよということがあの選挙で少しはわかったんではないかということで、若干最近は我々が地域の事情を伝えに行っても聞く耳をもってもらえるようになりました。1例だけ申し上げますと、バンカーサイロといってトウモロコシを作ってサイレージを作るための設備なんですが、関係者のうちの酪農家の方が自給飼料を増やすためにはサイロがぜひ必要だと言われた。ところが国の制度では5人以上が一緒に共同利用しないと補助対象にならないということなんです。ところが実情を聞いてみますとそれぞれの農家にサイロがあっていつでもビニールをはずしたりだせれたりしなければ使いにくいということなんです。県では11月の補正予算で急きょ単独で支援する施策をつくりました。並行して国にも要望書を持って行きました。昔だったら一蹴されたところが、若干聞く耳を持っておられて今度畜産の緊急対策を国が打ち出されました。その中に個人向けのバンカーサイロに対する補助制度を作って下さいました。まさに去年の選挙の効果があったのかなと。少し国の方も耳をかすようになってくれたのかなと思っております。3点目は、農業というのは日本中に広がる農村の活力の源になるものだとという視点です。特にこれは日本の水田農業、非常に規模が小さくてまだ鳥取県でいえば5反とか6反いう面積で兼業農家の方がたくさん作っておられるんです。それがかなりの部分を占めているわけですが、仮に水田を作らなくなれば荒れ地の周りに集落がぽつんとあるわけです。これが無くなったときに本当に農村にすむのか、お年寄りは出るすべがないからおられるかもしれないが、次の世代は間違いなくそこには住まないわけです。働けば給料がでますから町にでてしまおうということになって、ゴースト農村ということになってしまう。水田、米というものについては手厚く考えなければならないのかなと思っています。
そこで、鳥取県の農業、農政はどうなのかというと、ここ10年間で農業生産額は3割落ちています。10年前は1000億円ありました。今は700億円くらいになっています。何が落ちたかというとやはりお米です。お米と梨この2つで200億から落ちております。鳥取県の農政は何をやっているかというと、1点目に収益性が上がる農業が大事だという点を言いました。これに対応するためにプラン農政というのをやっております。県のほうでいろんな補助制度をあらかじめ決めるのではなくて、産地とか個人の皆さんに自分がこういった農業経営をしていくとプランを立てていただく。その実現に向けて、機械の整備、販路拡大など柔軟な施策支援をやっていきたいと思っています。これが1点目に対する施策。それから2点目のセーフティネットですが、いろんなセーフティネットがあります。直接支払は国にゆだねなければなりません。価格安定制度も国にゆだねています。価格が下落したときに補てんをする方法。それから経営の資金。資金がきちんと手当てされないと安定して経営ができないものですから、この資金面の優遇措置。利子を軽減する、無利子にするといったことをやっています。価格が著しく下落をした、昨年末は原油が高騰したため温室で作っている施設園芸がかなり影響を受け、原油の高騰に対して経営を安定させるための無利子資金。こういったことも県ではやっていますが、これについてはまだまだ十分だと思っておりません。今後も国により充実するように申し入れていきたいし、県としても国のこぼれる所をささやかですが、県でできる範囲はセーフティネットを手厚くしていきたいと思っております。3点目についてですが、皆さんご存知でしょうか。後で鎌谷組合長がお話しされるかもしれませんが、品目横断的経営安定対策というので、水田の支援を担い手一定の規模の農家に重点的にやっていこうという施策を打ち出されました。19年度から国の方は始めましたが、これの評判が悪くて選挙に負けたという噂がありますけれども、実は県としては新潟県とか北海道ではこの施策はヒットするだろうけど、鳥取県の水田の零細な状況をみているとなかなか難しいだろうと。方向としては理想的だけれど、難しいだろうなという思いがしておりましたので、県としてはその国の担い手の要件に達していない人達、あるいは集落営農こういった人たちに対しても国の支援の2分の1の施策というのを売っております。それから国の担い手の要件をクリアしなくても、トラクターとかコンバインだとかを共同で買おうということに対して県独自の支援策を出していこうと今やっていることころです。
したがいまして、全般でいえば県でやれることといえば少ないわけですが、国の施策を地域にあった補完をする県の農政。こういったところをいまやっています。
最後に申し上げますと、今日は酪農ですので自給飼料の話が出ておりました。今日お話しされた皆さんと私ども全く同じ考え方であります。自給飼料の率をいかに増やしていくかがこれからの畜産のあり方で一番大きな課題だと思っております。要は日本の牛とか豚とか鶏は地産地消を全くしていないわけですから、これを少しでも地産地消に持っていきたいということで、これについてもいろいろな関係施策を打ち出しております。いろんな面で自給飼料の増産ということに県も力を入れていきたいと思っております。
 
松永:ありがとうございます。心強いお話を聞かせていただきました。それでは次に生協としてどういう取り組みをしておられるかを福永さんにお願いいたします。
 
福永:生協としてどういう取り組みをしているかというところはあまり話せないかもしれません。私自身の中では京都生協で1月にやりました連続講座の続編のようなつもりでありまして、そのときは「食の自給についてどういうふうに考えていくのか」サブタイトルで「日本に農業、農村はいらないのか」という過激なテーマを設定してやったんですけど、それをもう少しブレイクダウンするとどんなふうになるかというような意味で前回の1月の内容をもう一度ここでさらに深めていくというような位置づけでおります。
消費者として今の食とか自給とか鳥取での取り組みというのをどういうふうにとらえていくかということに搾って少しお話をしておきたいと思います。
といいましても、先ほどの松永さんの講演で全面展開されましたので、話をすることがあまり残っていないんですが。私自身、この問題を考える上でとても大事だなと思っていることは、まず第一に選択できる消費者になるというテーマです。これは連続講座第2回目のときに過激に、「食べないという選択もある」というふうにお話をしたんですけれども、それは今でもとても重要なテーマだと思っています。というのは食の安全をめぐるさまざまな問題の中でおそらく最大の問題は食品添加物とか農薬とか遺伝子組み換えとかではなくて、おそらく過食あるいは飽食と偏食にあると思っいます。例えば、がんの要因として何が考えられますかという有名なアンケートがあって、一般市民と専門家に同じ質問をしたところ、一般の市民は農薬だとか食品添加物だとかいろいろおなじみのものを挙げられますけれども、専門家が挙げるのは「普段の食事」がダントツの第一位で、それから「たばこ」。そこはものすごく誤解があってる。食の危機というふうに言うと何となく産地偽装の問題とか農薬の問題とかが浮かびますけれども、本当の危機はもっと別のところにあって、そのうちの一つが飽食にある。、先ほど日本はトウモロコシの国で1億6000万トンのトウモロコシを輸入しているというお話がありましたけれども、それと合わせて、1億9000万トンの食品を毎年捨てている。まだ食べられる食品がほとんどだと思いますが、それが無為に失われていく。一方で、食料自給率は39%。これをいったいどう考えたらいいのか。その点で、選択するというテーマを考えたときに、まず最初に考える必要があるのはできるだけ食べないということ、あるいは言い換えるといろんなものを程よく食べるということ。これはとても重要なテーマであって、もしかしたら食品添加物とか残類農薬とかそういったものよりもずっと重要な、生協が取り上げるべきテーマではないかなと思っています。
では、より少なく食べるという選択をするときにその選択はどのように行われるかということが次の重要なテーマになってくるわけですけど、そのときに大切に作られているものを大切に食べるという、あまり科学的ではなくて宗教家のようでいやなんですが、この大切に作られたものを大切に食べるというのは意外とシンプルですけど、真実をついているというかとてもわかり良くて、重要なのではないかと思っています。
次にその食べ物が大切に作られているかどうかをどうやって選択するかという重要なテーマがあります。その点に関して言えば松永さんが先ほど講演の一番最後で言われた、メディアを読み解く力が非常に重要になってくるのではないかと。今は、たとえば中国の餃子問題なんかでいえば中国のものはとにかく危険で国産のものは全て安全で、だから自給率を高めていったらいいんだという割とシンプルなロジックが独り歩きしています。食の問題、食の安全というのはそれほど簡単なことではなくて、メディアはとても短いフレーズで単純に描こうとしている。結果として嘘を振りまいている。場合もある。悪意があってしているというよりも、メディアというのはやはり短い時間で短いフレーズで物事を伝えなくてはならないという仕組みになっていて、食の問題という本当は大変な問題をそのように報導するために物事が分からなくなっている。それを読み取っていくという力がとても重要なのではないかと思います。その上で大切に作られたものを大切に食べる。あるいはそれをきちんと選択するということを通じて、一票を行使する権利をもう一度きちんと取り戻す必要があると思います。つまり、投票するという権利を消費者は失っているのではないかと。これをとり戻す。自分の力で選択できる、自分の力でメディアに振り回されることなく自分の頭で考えて自分で選ぶ、そういう消費者になっていくことが重要なテーマではないかと思います。それから、もうひとつ問題提起したいのは価格の問題です。1月の連続講座第2回のときはそこには踏み込めませんでしたが、今日はそこを避けて通るわけにはいかないのでこれからぜひ議論をしたいなと思っています、価格についてどういうふうに考えるかというのは非常に重要なことです。価格の問題は今の農業とか農村を考えていく上でとても重要なキーワードになってくる。いわば結論がそこにあらわれてくるというふうに考えてもいいくらい重要なものだと思っています。ところがこの点で言うと消費者というのは、非常に過保護な状態にあるのではないでしょうか。問題提起として受け取っていただいたらいいと思いますけれども、商品を買うときに商品そのものの対価だけを払えばいいというふうに思っているんじゃないでしょうか。本当は生産されたり、場合によってはそれが廃棄されたり、商品から副産物が出てきてそれを処理しなければならなかったり、様々なことがあって環境にも多大な負荷を与えて、それを保全しようとするとコストがかかります。でもそのことには触れないでおこうということで今の価格体系は成り立っているんではないのかなと思っています。先ほどの紹介にもありました、TMRの中におからを入れていますけれどもほんとうは、豆腐と同じくらいの重量のおからに責任を持っているということを感じておられますでしょうか。いちいちそんなことを気にしていると大変なことになります。前に計算したことがありますけれども、ステーキ1枚食べると、たぶん10キロくらいの牛のふんに責任を持たなくてはいけなくなります。そのことを考えながらステーキ1枚食べているでしょうか。これを食べることによって生まれた牛のふんは一体どこに行ったのか。
これを食べることによって生まれた牛のふんは一体どこに行ったのか。そのコストはいったいだれが払ったのか。豆腐を食べたときもそのおからはもしかしてどこかの悪徳業者みたいに山の中へ行って捨てられたのかもしれないし、きちんと産廃としてお金を払って処理されたかもしれないし、TMRになって鳥取の牛に食べられたかもしれない。本当はいろんなコストがかかっている。そのことと併せて商品の価格というのをもう一度我々は捉えなおしていく責任が生活協同組合の側にむしろあるのではないかと積極的に提案していくことが必要だと思います。そのときに「より良いものをより安く」といいますよね。これってどうなんでしょうか。よりというのはきりがないですよね。ちょっと安くなったりちょっと良くなったりするとさらに良くなって安くなってを望みませんか。私はこのスローガンはもう止めたらどうかなと思います。私のスローガンは「そこそこ良いものをそこそこ安く」。これでどうかなと思います。究極安く、究極良いものを、究極安全なものをといいながらいったい我々は何を求めているんでしょうか。そのことで本当は失っているものがある。その失っていることのほうが本当はずっと大きいかもしれないということにそろそろ気づかないと取り返しがつかないことになるということなんじゃないかと思います。農業の問題は今はもう猶予のある問題ではなくなってきている。39%自給率だといっていますが、今オーストラリアとのEPA交渉が成立すると12%になる。12%というと水田と畑を合わせて470万ヘクタール日本にはありますが、そのうちの270万ヘクタールが失われる。たった199万ヘクタールに日本の農地はなってしまう。それで、農業というのは維持できるのでしょうか。そのことを我々は支持できるのでしょうか。より良いものをより安くより安全にというふうに言いながら最後そこへいくというのはとても不本意なことのように思います。価格の問題もぜひ、先ほどの何を選択するかということのロジックの中でもう一度も捉えなおしていく必要があるのではないかと思います。
最後にそんなことを考えながら、今日 は鳥取なので私も鳥取の畜産の肉牛の方にはかかわっていたので、思い入れがあるんですが、思えば非常に早く提案しすぎた。今年提案していたら受けていたかもしれませんが、それを1999年あたりに提案するところが馬鹿げていた。それもBSEの直前に。今考えると明ら かに日本の農業あるいは肥育の畜産のトップランナーです。日本の中でたぶんトップランナーだと思います。それを生協自身が良く知らない。それから不幸なことに生産者の中にもまだそのことが、なぜトップランナーなのかということがよく広がっていない。それはとても不幸なことだと思います。鎌谷さんがおっしゃったように、100年計画です。まだたった8年しかたっていません。これから反撃してきっとこれがメインになっていくというふうに確信を持っているんですが、そういったことを考えさせられるとても刺激的な事例です。この窓を通して日本の農業だけではなくていろんなものが見えてきます。日本の農業の危機だけではなくてもっと世界的なたとえば世界中で毎年800万人が飢餓で死んで行っている。日本では飽食で死ぬ人がいるのに。そんなことがこの問題を見ていく中でいろいろ見えてきます。とても良い教科書でもある。それから、我々が我々自身に食品を選択する力があるかどうかという力が試される。可能性を感じさせるとてもいい取り組みではないかと思います。
この討論の中で、一緒に深めることができたらと思っています。
 
松永:どうもありがとうございます。ものすごく大きな話題になってしまって、どうしたらいいんだというのと、上司のかた来ておられませんか。買わないという選択という生協の方がそんなことを言ってもいいのかしらという、ちょっと心配になりました。買わないではなくて食べないという選択というお話がありましたね。でも生協としては買って頂かないとだめなんですよね。そこが難しい。それぞれ皆さん食べていただきたい買っていただきたい。河原部長はじめそうなんですね。でも、一方で今の福永さんの話は非常に説得力がありました。消費者にとってとくに説得力があるお話であっただろうと思います。
生産者側から見たときに今のお話というのはどういうふうに聞こえるのか。それと、もうひとつ重要なのは情報に振り回されないというところも重要だと思います。大山乳業さんとくに牛乳はかなり間違った情報が世間に流布したために今非常に大変な思いをされているというところもありますのでそういう観点から、それから福永さんのいろんな問題提起どうでしょうか。お二人にご意見をお伺いできればと思います。ぜひ本音の所をお願いします。
 
幅田:私どもの方は牛乳の話なんですが、牛乳をたくさん飲んでもらうというのが一番なんですが、基本的には食の中で牛乳をどういうふうに位置付けて頂いて利用して頂くかということだと思いますし、生産者の中では農業の中で酪農の位置づけがどうなのかということがしっかりしていませんと、酪農なり牛乳を大事にしてもらうということがなくなるのではないかと思っています。その中で、食生活は日本型食生活が良いんではないかと思います。ただその中で、牛乳も加えてもらうことによってカルシウムの補給であったりいろんな要素が含まれておりますので、日本型食生活の中に牛乳というのが一番合っているのではないかと思っています。アメリカなどのようにどんどん牛乳・乳製品を利用する国であればまた違った利用の仕方であろう。松永さんのお話にあったように、高脂肪にこだわる必要はないのではというのはとてもよくわかります。コストもかかるし、そういう面では私もどうかなと思っていますが、ただおいしさということになったときにある程度脂肪もないと無脂肪とか低脂肪にはおいしさがあまりないものですから、どの程度の脂肪であればいいのか、私どもの組合はだいたい3.5〜3.8くらいが良いのではないかというふうに思っていますが、あまりに高すぎる必要はないというふうに思っています。こうして非常にえさが高くなると、少しコストがかかり過ぎる。成分を維持するための余分なコストということも今後考えていく必要があるというふうには思っています。松永先生や、福永さんからお話がありましたが、間違った情報、正確な情報が伝わらないそのもどかしさを感じておりまして酪農の場合も一昨年牛乳の批判本がでまして、ベストセラーになって牛乳の消費が落ちたというふうに言われていますが、全く正確なことを知らない文章だと我々からみればそう思いますが、お医者さんが書くと非常に影響力があるということで、我々の方も牛乳に対しての知識を消費者の皆さんに伝える努力が必要だと思っていますし、逆に消費者の皆さんが何を求められているかということについてももっと勉強する必要がある。価格のことや牛乳に対する思いも消費者の皆さんのいろいろな意見があります。牛乳にカルシウムや他の栄養成分をもっと加えた方がいいというお客さんも確かにあるわけですが、それがいいのかあるいは他の成分は他の食品でとってもらうのがいいのかについても作る側売る側から言うと、何を求められているかがわかりにくいということがあるわけで、率直に意見交換しながら生産なり商品開発をしていく必要があると思っています。
特に、酪農サイドでは危機的な状況にあるわけですが、これはある意味酪農の今までの体質を見直すチャンスだろうと考えていまして、本来の自給飼料生産を増やして、濃厚飼料はある程度購入はするんですけれども、自給飼料の生産をしてまた糞尿は耕地に還元していく循環型の生産を見直すいい機会だと思っております。乳価を上げることも大事ですけど、乳価を上げればそれで今後酪農が生き残っていけるかといえばそう甘いものではない。生産構造もこの際変えていくという取り組みも同時にやらないと、また餌が安くなったら購入飼料に頼るような経営というのは今後は理解されないなあと、環境面を含めて思っていますので、非常に厳しい状況ですがチャンスととらえて取り組んでいく必要があるかなあと思っています。
 
鎌谷:私のからは2点ほどふれたいと思います。松永さんには持ち上げて頂きましたが、取り組みで足らない点はいくつもあると思っています。ただ、松永さんの話は、「逃げたら許しませんよ」というメッセージだと思っていますので、頑張らなくてはいけないと思っています。先ほどの報告の中で「食はいらないのか」とか、「牛はいらないのか」とか「牛肉やコメはどうなのか」と、「消費者も生産者も含めて自分の自給率を考えてみてください」と言いました。本当に、畜産はやめてしまうと、また始めるしても牛肉ができるのには3年かかる。さらに、3年のサイクルですから、失敗してまたやろうと思っても、お金がなくてできなくなってしまうわけです。
   水田の話をしたいと思います。飼料稲を作り始めた中で気づいたわけですが、荒れた耕作放棄地がどんどん広がってきている。そして、もう一つはその裏には、農村社会が崩壊してきている、担い手がいない、という現実がある。そういった状況では、飼料稲どころか食用のコメもどうしていくかという問題すらある。たとえば米を栽培するコントラクターなどを考えなければならない。農林部長のほうから経営安定対策の話がでましたが、一昨年、滋賀県の「酒人」という農業生産法人ファームの社長などと一緒に農林水産委員会の参考人として経営安定対策について意見をいう機会がありました。提案されている経営安定対策では、このままだと耕作放棄地がますます増え水田が荒れるという話をしたのですが、若い議員の先生方は「これは良い政策だ、なぜこれまでにでなかったのか」と言っておられました。しかし、去年の秋には、1100億円の補助金対策を打ち出さなくてはならなかったように、この政策は破たんして対策をしなければならなかったわけです。担い手対策に対しても、従来の政策よりも手厚くはないんです。なおかつ兼業農家は切り捨てていくというという形のものです。私は国会の中で「地元の担い手の皆さんに、兼業を切り捨てておいて担い手の皆さんに「お金は少なくなるが食糧生産の責任は皆さんでもってくれ」ということですからとんでもない話だと、蜂起しろといっています」という話をしたくらいです。 
ただでさえ、そういった状況ですから、水田のコメについてはとにかく大事にしていかないと日本の農業の将来は非常に危ういということです。私は最近「思想」を大切にしたいといっています。思想の思は、田んぼの心です。田んぼの心というのは、栽培し育てるという命をはぐくむ心、額に汗をして勤労を尊ぶ心、豊作を喜こび食べ物を大事にするという心です。田んぼ仕事が放棄されると、食べ物だけではなくて文化とか、人と人との関係だとか、集落営農という形でもう一度相互扶助とか農村社会をどう再構築するかという問題もありますが、これらが崩れてきたときにはもう手の施しようがなくなるといく危機感があります。
この点では、畜産牛肉だけではなく、コメの産直を行い、農村集落と都市のコミュニティ同士の、顔と顔が見える環境を作っていかなければならないと思います。その産地で作った米を食べて頂く、という関係ができれば農村は元気になるんです。ぜひそういった取り組みをお願いしたいと思います。
   餌、畜産の関係では、2007年に農水省の畜産部長が「配合飼料は2400万トンでトン当たり1万円上がって負担増は2400億円になります。この金額は多額で、とても国家予算では対応できません」という話をしていました。今2400億円どころかトン当たり2万円上がっていますので、負担増は4800億円に上がっています。これをだれが負担するんですか。国が1年間にわたり増加額の半分負担するという餌価格補填制度がありますが、後年生産者が返済していく制度です。本当に、この負担増を最終的にはだれば負担するのか、生産者なのか消費者なのか。農水省の畜産部長は消費者に転嫁してもらわなければいけませんという話をされました。こういった政策実態の中で本当に畜産がもつのかどうかという危機感があります。昭和48年当時、今と同じようなエネルギー問題で石油ショックがあり、同じように酪農危機がありました。今と同じような様相でした。今は餌が1.5倍値上がりしております。たぶんまだ上がるので1.7倍くらいになるだろうと思います。ところで、昭和47年48年では1.7倍になっています。その中で、酪農はどうなったのかといえば、その2年間で餌価格は上がったわけですが、その当時、生産者の乳価は46年プール乳価で150円から最終的には51年に100円になった。約2倍になっています。やっとそこに落ち着いて、頑張った農家が次につながったわけです。結局その間に、鳥取県の酪農戸数をみると47年の2月には2890戸、3年後くらいには1820戸になっています。牛の頭数も8,600頭いたのが7,300頭まで減少しています。今と同じくらいの頭数になった。そこまで農家が痛んできて、やっと均衡がとれたわけです。結果的には、今の餌価格が下がらなければ、コストをだれが負担するにしても、そのくらいの乳価になるか、あるいは政策的に補助しないと経営がもたない。それぐらいの価格になるためには、たとえば酪農家や畜産農家が半分になって供給量が少なくなしかない。消費者は、その時点で、その金額で買わざるをえなくなるということですが、本当にそういった状況になるまで待つのかどうか。それまでにどういった対応をするのか、露骨な話をしておりますけれども、問われているのではないかと思います。 
昔の危機の時期の京都と鳥取の関係がどうであったかというと、京都と鳥取で全国の乳価を決めた、引っ張ってきた、という関係がありました。それができた時代だったわけです。もっとも、最初に産直をしたときには安い乳価でいいものができたという産直でした。ただ当時は、47年から50年のころは、賃金も10%〜20%上がった時なんです。今は上がっていない。だからそこでどうするかというのは単に価格転嫁だけではなくて一緒に政策提起もする必要がある。さらに、価値ある消費の仕方やお金の使い方をするという、消費の考え方をお互いに考え作っていかないといけない。
もちろん生産者も全力を尽くして自給飼料を作っていくとか、そういった取り組みをやっていかないといけないと考えています。水田はおとどしから去年にかけて、畜産だって去年から、こういった状況になることはある程度予測できました。現在の餌の高騰の半分は基金の補填で緩和されていますが、生産現場は、それでも悲鳴に近い状態で、辞めざるを得ないような状況になってきているわけです。今後、自動的に更に、高騰の半分に近い負担が増えてくる。政策的になんとかしないと壊滅する。そういった状況でいくと、すぐ餌ができるものではないので、今から餌を作っていく。それと同時にどういったことができるのか。緊急的に何をするのか、あるいは中期的にどうするかということを考えていくようなことも大事であると思います。
 
松永:ありがとうございます。結局30年前には市場価格が1.7に上がって、その時は乳価が1.9倍にまで上がったと。それは所得が上昇基調にあったからこそその乳価で買い支えることができた。30年後の今、飼料が同じように上がっているのに乳価は上がらない。その中ではどうしようもないということですよね。
 
鎌谷:ただ前回も半年くらいのタイムラグがあります。ですから、これから乳価が倍になるかどうかは別にして、前回のときもスーパーが値上げしないのに対して生協は上げていって全体的な相場を作っていったという歴史もあります。それが今のあり様の中で、どういう関係で、牛乳の利用をやっていくのかということを、より深めて生きたいと思います。
 
松永:ただ消費者は所得が上がらない中で乳価が上がると困ってしまうということで、お互いに知恵を絞って何か違うことを考えなくてはいけないんだということなんだと思います。それと、もうひとつおっしゃられた畜産にしても水田にしても目先のことだけ考えていたらだめなんですね。単なる水田をお米の工場としてはだめで、そのお米のだけの対価を支払うのではだめだと。ずっと水田を維持していかないと私たちの子供や孫の代への食糧を安定供給していくことはできないというお話に収斂していくのではないかと思います。私たちはどうしても目先の食品そのものの対価しか支払わない、そこしか考えていないという流れでこの10年、20年きたような気がしますので、そこを問い直してくださいということだろうと思います。
   今のお話をお聞きして、会場の方のご意見をお伺いしてその上でお話を展開していきたいと思います。会場の方のご意見をお願いします。
 
大山乳業 田中監事:先ほどから酪農の将来をなんとかしていかなければならないという声があるわけですが、今日が大変なんです。ですから今日ここにきていろんな意見を聞いたり、仲間内からいろんなことを言って来いという重たい思いを背負ってきました。前回松永先生の会にでさせていただきました。いろんな勉強をしておられてすごいなと思い、仲間内でいろんな話をしていました。しかし、今の酪農家はBSEのとき、台風のとき生協の皆さんにも助けていただきましたけれども、事態はその時のような段階ではございません。私のことを少し話させていただきますと、私も子供が後を継ぐからには、牛舎を立てようということで15年1月から16年7月まで1年半年以上かけて、いろんな人に手伝いをしてもらい、80頭飼うことのできる牛舎を建てて、18年には80頭とはいかなくても60頭くらいはきちっと搾りたいなという思いで黙々と頑張ったわけですが、ご存知のように18年から計画生産、しかも個人の割り当て、我々にとってはどうにもならない足かせ手かせがかかりました。私よりもものすごく大きな犠牲を払って今まで頑張って来ておられる人はたくさんいます。私の所も18年の4月1日から自分の枠、過去3年間の乳量しか自分に枠がないわけです。オーバーすればペナルティがくるという中で、18年4月から9月くらいにかけて23頭の牛を泣く泣く屠場へ送りました。特に女房は生まれた牛に全部自分で愛称をつけて、そして3年かけてようやく子供が生まれます。そういった牛たちを残して、年をとって頑張って来ている牛たちから次々期始末をしました。そこの中には妊娠9ヶ月の牛たちもいて、全部次の日には肉になって、親子とも死んでしまうという非常に悲しい思いをしました。動物好きで、儲からなくても食べられればいいという部分からそういった経験をしました。しかし30頭50頭売って耐えに耐えて今を迎えておられる酪農家もたくさんいます。なくなく死んで行った牛たちの肉代で18年の末から19年前半までいろいろな償還をしてなんとか19年は越せましたけれども、こういった中で、我々はどうして生協の皆様へ我々だけの牛乳で出荷して飲んでもらえるのか。中国5県で一つの組合を作って一緒になっております。下手をすればそういうところの牛乳が回っていくのではないか。今なんとか皆様方に飲んで頂いて少しでも乳価の回復がなければこの先絶対にやっていけないと思います。先ほど両組合長は厳しく言われたようですが、私どもからすればまだまだやんわりで、100倍くらい厳しい。
   農協から資金もストップされ、私の所も私の生命保険で使える部分、年金で使える部分、女房の部分も取り崩して、子供も嫁に行った娘の部分まで借りてなんとか今しのいでおります。しかしそういうことを酪農家全員がやってもどうにもならない人はどこにそのお金を求められたと思われますか。これほど誇りに思っている大山乳業の出資金までも取り崩して今をなんとかつないでおられる農家はたくさんあります。死ぬ思いで皆がんばっておりますので、どうか皆さん方なんとかわれわれの牛乳を守ってください。お願いします。
 
松永:ありがとうございます。なんというか言葉もありません。非常に重たいお話をお聞きしました。どうしたらいいという答えがあったらいいんですが今のところ誰もこうしたら解決しますという答えがない。そこが本当に苦しいところですね。会場の特に生協の方どうでしょうか。
 
京都生協 片上:実際京都生協の現場で働いているものとして、明日美歎牧場へ見学へいくわけですが、見どころを知りたいというのがありまして、現場に行ってなんでも知りたいという感覚があるんですが、こういうメガネを通してみたらより自分の中に五感として感じて、その結果本当に良いものを伝えていきたいという気持ちがあるので見どころを教えていただきたいということと、鳥取の取り組みがすごく良いということは皆さん口をそろえて言われていて、そうだなとすごく感じるんですが、良いところというのを具体的に3点くらい聞かせていただきたいです。これまでの取り組みとの比較の中でどのように素晴らしいのかということを教えていただければと思います。
 
松永:ありがとうございます。先ほどの田中さんのお話とも見どころというのはつながっていくところがあるかもしれないと思いますが、どうでしょうか。単純に観光としての見どころではなくて、田中さんのお話を踏まえて、見てほしいという所はありますか。
 
鎌谷:田中さんの話を踏まえてはちょっと見えないでしょう。今日の話を踏まえて、TMR飼料の給食センターを明日見てもらいますし、山では牛を見ながら今日の話をもう一度考えて頂いて分からない所を意見交換するというかたちをお願いしたいと思います。田中さんの話ですが、私が答えてもしょうがないですが、生産者として何ができるかを最優先に考えていかないといけないと思っています。大変な状況は、先週の集会のお母さん方の声を読んでいただきたい。今の状況は米騒動か酪農騒動かくらいの気持ちで取り組まないというと消費者の皆さんに分かってもらえないのではないかという感じがしています。ですから、生産者が自分の経営の中で自給粗飼料生産とか、やれることは力いっぱいやるということと、餌の高騰問題については政府になんとかさせるしか手はないと思っています。こういった議論は重たいかもしれませんが、どれだけ消費者の皆さんに理解してもらって買っていただけるか。値段が上がっても買ってもらえるかどうか。あるいは消費者の皆さんが、何ができるかということを考えてもらうしかないのではないかと思います。
今、選挙があるからといって政策を変えているが、本質的な対応ができていない現状の政策では、今の窮状がどんどん進む。そのため、緊急的な対策を含め、生き延びれる対策を生産者も消費者と一緒に取り組む必要がある。また県の行政を通じて国に対して要望もあげてもらわなければならない。緊急的にはそうだが、中期的には、生協の皆さんにも、自らの問題として、組織力資金力さらには学者先生など人材もかかえておられるわけだから、消費者・国民の問題としての食糧・農業政策確立し提起していただきたい。その中で一緒に、食や農業のあり方を考えて、大切さを地道に広げ伝えていくしかないと思う。
 
河原:今の田中さんのお話と全く同じような話を何人の方からも聞いております。経営安定のための施策ということでお話しすると、生産調整が18年度に始まり、規模拡大された方が15年以降何人もおられた。規模拡大を前提に施設を整備されたが牛を飼えなかったということで、これに対する手として町と県とが組んでL資金の利息を無利息にした。ただ、今おっしゃったのは次の段階で、えさがとんでもなく高騰するという新しい局面がまたでてきたんだろうと思っています。実はえさの高騰に対する短期間の融資制度は11月に作っているんですが、十分ではないのかもしれませんし、借り換えというのが簡単ではないという実情があるのではとお伺いしていました。県としてできるのは総合農協と普及員が話を聞いてどんな資金手当てが可能なのか考えさせて頂きたいと思います。すぐに大丈夫だと太鼓判は押せないが、経営の実情を関係者と相談させてもらいたいと思います。
 
田中:部長さんありがとうございます。昨日全酪新報という酪農新聞を読んでおりましたところ、乳価が3円上がりましたが、毎月それ以上にえさや資材が上がってしまいましたので、差し引きの収入が増えるとは思いません。そんな中で、キロ2円に相当する1頭あたり16000円をなんとかしようということで、桜が咲くころにはなんとかなるかなといろんな期待を持って酪農家同士話していました。ところが新聞をみると4半期ごとに牛の1頭あたり7000円位を7月から始めると。とてもではないが間に合いません。なんとか少なくとも補助というか緊急でもいいですから2円部分のさきどりをお願いしたい。なかなかこういう場でないといえません。これについても考えていただけないでしょうか。
 
河原:これは国が緊急対策として打ち出された部分で、県での決定権は実はないわけですが、ただ我々も農水省と話すことはありますので、支払時期を分割ではなくて、早く一括でということは申し上げたい。ただ県では決定権がありませんので、決めることはできませんが。先ほど鎌谷組合長からお話がありましたが、えさ対策は県でというレベルの話ではないんです。5月6月また国に県として優先課題として強く要請していきたいと思っております。
 
松永:生協から生産者が再生産できる政策をという要望を国側にはできないのでしょうか。あるいはしていこうという動きというのはでてこないものなのでしょうか。今の生産者のお声を聞いてどう考えられるのか、生協の方はどうでしょうか。生産者が言っても国にはなかなか届かないところがあります。ステレオタイプの見方ですが、農家はいつも補助金を欲しがるとか、大変だ大変だとばかり言っていると受け止められていることがある。そうではなくて、本当に再生産できないんだということを生産者も声をだし、消費者側からも一緒に考えて理解してどう動くかが重要だと考えています。ぜひ生協の方のご意見をお聞きしたい。
 
鳥取県生協 加藤理事:生産者の現状は統計データもそうですし、現実こうやって出てこられるのも非常に大変な中でてこられていると思います。そういう中にあって、消費者の私たちは大変 にありがたく産直の牛乳や牛肉を頂いているわけですが、こういう危機にやはり生協、生産者がともに 行動するということが求められていると考えております。昨年、ミートホープの偽装事件がありました。今年は鳴門のわかめの偽装事件がありました。最近では中国の冷凍餃子事件がありました。できるだけ安くあげたいとか消費者が安い物を求めるからとか、そういうところの背景は今の競争社会の中で起こるべくして起こった問題だと感じられます。この牛乳の価格の問題でもかつてのように消費者側も景気が良くて収入も上がるような時代であれば、いろんな対策も考えられたわけですが、それも所得の水準をみると非常に厳しい状態です。ただ、厳しいとは言っても家計の構造自体がずいぶんと変わってきていて、例えば携帯電話のコストは高いが平気で消費者は支出してしまう。食べ物が一番コストを下ている。安易にそういうものを求める傾向があり、販売する側もそれに応えていこうとする。そういう構造になってしまっている。この問題を消費者サイドの問題として解決をするというのは私もその通りだと思いますが、意識を高めようと言葉では簡単に言えますが、多数の人が実践するようになるかといえば非常に難しい。何か政治的な国の仕組みとして守っていかないと、今の生産と消費の関係というのは保てない。政治への行政への要望をまとめていくというのも必要だと考えておりました。
   当面の対策としては生協の牛乳の価格4月から値上げして仕入れをしていますが、組合員さんへは2ヶ月据え置きとして、消費量を増やそうとしています。ただ、6月からは値上げになりますので、その時に消費が減らないように今から広報を広げていきたいと思っています。
組合員へは餃子事件以降、商品案内として表示を載せました。今週からはさらに加工食品の原料調達先を別紙でつけました。それをみるとやはり原料産地が日本というのは極めて少ない。国産商品ですが、原料を表してみたら海外のものがたくさんある。今の食品の調達状況がいかに国際的に調達されているかを消費者の皆さんが実感して、こういう国でいいんだろうかと考えていくということを一緒にやっていきたいと思います。鳥取県生協の取り組みとしてそのような話をしながら、この問題について生産者のご苦労を理解しながらやっていきたいと思っています。
 
松永:消費者が実感できないというのは非常に重要なことであるように思います。これほど生産者が大変な思いをしていることを消費者はなかなか知る機会がない、機会がないというか知ろうとしないからその情報が入ってこない。いかに消費者に実感を持って頂くかはやはり情報提供を生協が窓口になっていただいて、今の田中さんのお話をどんどん伝えていくという動きをぜひして頂きたい。本当のことを知るということがスタートだと改めて思います。
 
コープしが 永野理事:組合員の立場で発言させていただきます。理事になって産直のことに取り組んだときに買い支えるということがすごく大事だと思っていましたが、今日は職員さん役員さんいらっしゃいますがあえて言います。買い支えるだけが産直ではないだろうとか生協は大きくなれば低価格で供給しないと利用できない組合員さんがいるんだとか、そういうことに納得しかけていた自分がいます。でも今日の田中さんの訴えを聞いて、あるいは京都生協の福永さんのお話を聞いて自分の中に自信が戻りました。大したことはできないけど、明日私が注文する1本というのが13万人の組合員さんにお伝えできてみんながちょっとづつでもいいから繋げていくというのが大事だと思いました。私たちができるのは小さな一歩ですけれどもすごく大事だということを痛感しました。ただ、このようなことをきちんと繋げていくというのが生協の活動になるんですけれども、実はコープしが13万人組合員がおりましても、組合員活動に出てこられる方はほんの数パーセントです。とくに産直の学習会になりますと大山乳業はコープしがですごく人気ですので大山の方が来られるから話を聞きにくるという方もいらっしゃって、なかなかその他の生協牛乳をご利用の皆さんに伝えていけないというのが事実なんです。産直フォーラムを毎年開催しておりまして今年で5回目になります。ここで産直フォーラムの報告とPRをしたいと思います。
 
コープしが 小澤理事:5月にコープしが産直フォーラムを開催します。今回5回目ということなんですが、今まで記念講座があったり、パネルディスカッションがあったり、漫才をしたり、いろいろ楽しい企画をさせて頂いているんですが、先ほど田中さんからお話がありましたが、秋に鳥取に来たときも同じような話を伺いました。やはり胸が痛い思いがして、どうやったら消費者の方に伝えられるかが課題として残っていたので、私たちができることというのは消費者に伝えることで、この産直フォーラムを通じて牛乳だけではなくて卵や野菜やお米など、いろんなものが私たちの食卓に届くにはこれだけの苦労があって、みんながこれだけ頑張っていて、これだけ元気なおいしいものが届くんだよとわかってもらう機会というのが、生産者と直接触れてもらうことが一番わかってもらえるのではないかと思っています。それが伝えられて初めて私たちの仕事ができたというのがあると思うので、今日と明日といろんなお話を聞いて情報をいただいて来月の産直フォーラムに役立てたいと思います。
 
京都生協 松尾理事:生産者の方のお話を私も昨年の秋に来たときにお聞きした。そのときにも言ったと思いますが、やはり一消費者というか組合員からすると、重くて答えられないんです。へこんでしまって頑張って牛乳を飲もうという気にならなくなってしまうんです。組合員さんに伝えていくのが本当にいいのか私自身疑問に思ってしまいます。これから一番新しいところでは実際に京都生協でも牛乳は値上がりがあります。それに向けて宣伝プロモーション計画を立てています。今日のお話の内容もあるかと思いますが、産地での現状などを含めたチラシの作成や大山特集のページを組んだり、学習会を計画したりとか店頭で生産者とメーカーが協力して試飲の取り組みをしています。牛乳普及に向けては、組合員さんからアイデアを募集するとか、計画を立てています。生協でどんなことができるのか、国へ要望書を出すとか方法があるなら検討していく必要があると思いますし、一方で組合員さんへ働きかけをしていくことが大事だと思っています。秋にも言ったと思いますが、個人的ですが、生協のホームページの中にモーモーサイトというところがあるんですが、ここ何年も全く変わらないです。取り組みの紹介も2004年から何も変わっていないのでそこをもっと利用してほしい。生協なのか大山なのか私にはわかりませんが、大山の産地でしかできない発信というのは絶対あります。作業している毎日の中で、泣きながら搾っておられるわけではないと思います。そういう映像を通じて、たとえば今朝の様子とか今の様子とかわかる時代ですから、そこをもっと利用して身近に感じられるようにしてほしいなと思います。今朝の牛の様子とかがお店で見られるとか、ホームページで見られるとか日記のような形で交流ができればすごく良いと思います。モーモーキャンプなどに参加してもそこからぷっつり交流が途絶えてしまってはもったいないと思うので、もう少しお互い考えていければと思いますので、宜しくお願いします。
 
幅田:モーモーサイトの件は京都さんと相談したい。私どものホームページでも普段の酪農家の様子をのせることができるように考えていきたい。
 
鳥取県生協 西川理事:遠いところの組合員さんから力強いメッセージがありましたので、私は消費者として小さなことしかできませんけれども、子育てをしてきた中で生協の食品だけで子供を育ててきたような思いがあります。その子供も岡山県にいるんですが、大山乳業の牛乳を必ず買うようにとか小さなことですが、伝えていくということが我々ができる使命だと思ってやっています。
   松永先生の講演の中で、反論ではありませんが私は無農薬低農薬はいいと思って進めてきました。科学的に実証がなれば考え方を変えなければいけないと思うんですが、地元で梨農園の方がたくさん病気になって辞められたかたがいるんです。やはりほどほどということが何事にも必要なのだと感じました。それから河原部長さんのお話についてですが、私は助成金はあまり好きではないですが除草機などに使う助成金というのはとても良いと思いましたのでぜひ実行されればと思いますので、宜しくお願い致します。
 
県畜生産者 中本:BSEのときから消費者の皆さんが知っていると思っていたことが、私たちの解釈とは違ったのを実感したので、京都生協のホームページの掲示板などで自然の脅威というような題で少しずつ発信させてもらっています。私たち生産者はいろいろとデータでトレーサビリティとかそういうもので安全を示していますが、交流していないと安心してもらえないと思っていますので、ぜひ呼んでください。行ってしゃべります。
それと、先ほどどういう視点で見学したらいいかという方がいらっしゃいましたが、私は牛を見るときに、どのような年月が経ったら自分の口に入るまでになるかということ、牛乳でも3年たってやっと乳が搾れる。生まれて40〜50キロのものが22ヶ月しないとお肉にならない。それがお肉になるものが1頭の牛から何パーセントのお肉になるというような見方をしていただけたらと思います。
困っていることは田中さんが十分言ってくださいまして、私自身もそういう話をすると、自分自身が落ち込んでいきますので、それは置いといて、提案をしたいと思います。消費者の皆さんも自分たちの食べ物を守る業界ですから、自分たちの食べ物を作る業界をどうやったら守れるかということで政府などのいろんな機関に言ってほしいです。BSEのときに若いお母さんが乳母車を押しながら私たちの牛肉を買おうか買うまいか後ろを向いて財布と相談されたんです。お金を持っている者だけが地場産のものを食べられるような世の中ではおかしいと私は思います。極端な言い方ですが、義務教育の子供たちを持っているお父さんお母さんが買う食物クーポン券を政府から出してほしい。それから学校給食は地場産品ですべて賄うとか。自分たちは環境問題、フードマイレージの問題とか水の輸入の問題とかそういうことで国産品が食べたい運動をやりたい。落ち込んだようなことばかり言っていては自分自身も落ち込んできますので、そういうことを提案して気炎を上げたいと思いますので宜しくお願いします。
 
大学生協京都事業連合 平理事:大学生協の状況についてお話しさせていただきます。大学生協の事業の中で食堂というのは非常に大きな中心になる事業で、大学の皆さんの食生活を支えているわけですが、昨年の秋から原材料がどこから来ているかを情報開示をしてということで計画してきて、この3月から始めました。いろんな加工食品とかメーカーのものもたくさん入ってきていますから、本当に厳密なところというのはなかなか分かりにくいですが、それでもやってみて改めて痛感したのは、海外の輸入物が多くて、中でも中国の物が圧倒的に多いということでした。今回の餃子事件を通じて思うのは、ひたすら安さだけを追求してきた結果が今の状況としてあるということです。
毎日食堂で食事を提供していますが、学生の食費は平均で400円いかないくらいです。学生のこれからの体をつくっていく上で健康上どうなのかという疑問があったりしますけれども、全体としてそういった価格感覚が形成されている中で、ひたすら安さを求めているというような競争を大学生協といえどもやっていると思います。当面のところ食の安全というテーマが一番大きなテーマとなりまして、大学生協でもいろいろな角度から安全性を確保するという観点で実務的な問題も含めてやっていこうとはしているわけですが、その中の一つとして日本の農業の問題や国際的な食糧問題とかを一緒になって考えていくべきだと思っています。今日のこのフォーラムに参加させて頂いて痛感しましたのは、生産されている方とできるだけ直接的な関係をたくさんつくっていくことがなによりも大きな力になるのではと強く感じました。
エフコープ 陶山理事長:生産者の方が非常に深刻に緊急の訴えをされています。そのことを非常に重要なことと受け止めて、2月28日に産直大会ということで命はぐくむ食を守るというテーマで開催しました。そのときに鎌谷組合長にもいらしていただいて、生産現場の訴えをしていただきました。組合員120名、役職員約300名が生産者の方の深刻で且つ緊急な訴えを受け止めさせて頂きました。グループの交流の中で非常に重たくなる沈み込んでしまう思いもあるんだけど、それを共有することによって生産者だけの問題ではなく、自分たちの問題として取り組むということ気持ちにたくさんの組合員がなりました。その中で、私たちもこれから行動していくというところで、組み立てを始めています。今日の訴えを聞いて、それも加えて進めていきたいと思います。私たちの食を守るということで消費者自身の問題ということで皆さんと一緒に進めていきたいと思っております。
 
日本生協連 和泉:以前は農水省の官僚で同時に東京都の生協組合員でもあるというどっちを向いてしゃべっていいのかわからないような状態なんですが、先ほど鎌谷組合長さんが短期の話と中期の話に分かれるとおっしゃいまして、最後は短期の話に集中してしまったんですが、もっと大切なのはとくに生協にとっては中期にどうやって農業と付き合うかということだと思っています。中期につきあうということはつまり、お聞きになってわかるように日本の農業というのは非常に危機的と言いますか、短期的に危機的だけではなくて、すでに農業が農業者だけで支えるものとか、農業者だけでやるものという時代じゃないと思います。消費者、食品産業は食に関わる人が全員で農業のことを考える。その中で農業にどうものを売ってどう支えるかということをやる。その消費者の千変になるのは生協だと思って、それに期待してこのフォーラムに参加させて頂いています。それに対して農業側というのは消費者の感覚に合うような情報発信をどのようにしていくか。農業は見えない、閉鎖的だと言われている中で、どうやってその人たちを引き入れていくか。ぜひ生協としてそのやり方を考えていきたいと思います。
 
松永:皆さん方のお一人一人が自分の生協とか仲間のところに帰ったときにどうこのことを伝えていくか、どう同情報発信するか、自分が起点となってどう拡大していくかということがこの場の意義を決めるんだと思いますので、帰って考えて悩んでともに頑張っていきましょう。皆さん頑張りましょう。
 
5.閉会まとめ  コープ牛乳産直交流協会副会長  鎌谷組合長 
 
皆さん大変熱心な議論をありがとうございました。松永さんのコーディネートはじめ、河原部長、京都生協、コープしが、日生協、エフコープから皆さんにおいでいただきまして、議論を深めることができたと思います。確かに、実態を知れば深刻で重たいところがたくさんあります。でも生産者は深刻でも重たくても毎日牛の世話を頑張っています。乗り越えていけるのは、やはり消費者の皆さんとの交流、仲間がいること、理解してくれる人がいると苦しくても頑張れるんです。精神的に次に進むことができるんです。短期的にどうやっていくかはもちろん、大事なのは中長期的に交流していく中で、生産者をシカトしない消費者と、消費者に良いものを届ける生産者の関係を強化していくこと、このことで変わっていくと思います。今日はきっかけということで、これからもっと議論を深めていくことで活路を見出していきたいと思います。
世の中は3年すればまた変ります。絶対良くなります。それを期待して、今は一生懸命頑張ることが自分たちの生活や世の中を変えることになると思いますので、宜しくお願いします。今日は本当にどうもありがとうございました。
 
 
県生協 日出島理事:元気に頑張ってアピールしたいと思います。ひとつだけ、もっと市町村の首長へもっと声かけをしてあげてください。そうすれば地元にもっと声が届くと思いますので、それだけお願いしたいと思います。
 
〜集会アピール〜
    別紙
 
 
集会アピール
 
21世紀は、環境の世紀、人権・調和の世紀と言われながら、混迷を深めています。しかし、確実に環境問題はクローズアップされるとともに、社会における人と人の関係、生活スタイル、いな生産についても、そのあり方が大きく問われています。   
資本主義的、社会主義的云々では解決できない、あらたな社会の仕組みが求められています。それは、「いのち」の源であり、生活・経済の基となってきた「食」をみても、明らかです。
21世紀のはじめ2001年にBSEが発生しました。これは、食の安全だけでなく、偽装問題、情報公開の問題、消費者主権の問題など、多くの問題を提起し、さらに「正直」「誠実」など昔ながらの倫理観の大切さを改めて認識させられたものです。そして、社会システムや制度も大きく変化してきました。トレサビリテーは、牛肉から食料全般へ広がり、安全性の確立が求められるとともに、コンプライアンスや消費者基本法の改正など、消費者・国民の知る権利・たべる権利も大きく前進してきました。
だが、今回の中国餃子問題では、食の安全性の問題はむろん、食糧安保の問題、世界の食糧・エネルギー・環境問題について深く考えさせられました。本当に私たちは「食べ続けられるのか」「生産し続けられるのか」という「食の安定」の問題を、餃子事件は、投げかけています。
食糧自給率はどうか。国内農業の実態はどうか。農業者は、農村は・・・。そして、改めて、消費者自身の課題としての食糧・農業・農村問題への携わり方はこれでよいのか。凶悪でかつ不測の状況が発生する国際・国内社会の実態、とそれに対応する社会システムのありようはどうなのか。さらに、農村型の社会や人間関係が崩壊していく中で、都市型・地域社会型の人の関係と生活スタイルをどう再構築していくのがよいのか。
いずれにしても、「食」をめぐって消費者・生産者のあり方を考える、歴史的な第二の段階を迎えているといっても過言ではありません。消費者、生産者が、責任と役割を明確にしながら、協同し食や農業へ主体的に関わっていくことが大切となっています。
 
鳥取の生産者との産直交流がはじまって、牛乳は38周年、牛肉は28年となります。その産直の流れは、京都生協、鳥取県生協、コープ滋賀、大学生協事業連合など多く生協へと広がり、コープ牛乳産直交流協会への結集となり、大きなうねりとなり今日に至っています。
とくに、産直活動の発展を期待し、2000年はじめた産直フォーラムと産直フェスタも8年が経過しましたが、この間、鳥取県の産直商品・生産者団体の輪も広がり、また各生協の地産地消・地場産直や産直交流の取り組みも拡大してきました。
しかし、一方、改革の名の下に、所得層の格差拡大や地方切捨てなど、消費生活の
耐乏化が強まり、また農村での農業・農村破壊は一層強まっています。現実の水田農業、酪農・畜産は待ったなしの状況にあります。酪農や畜産にいたっては、未曾有の危機であり、水田農業も崩壊の寸前です。今、今、何とかしなければ、乳や肉になるには2年以上かかる畜産です。崩壊すれば次はありません。
消費者も大変、生産者も大変、お互いに生産者や生活(命)の再生産が厳しくなってきており、今日の状況の中で、双方が産直に何を求めるのか、産直のあり方も問われているのも事実であります。
今回の産直フオーラムでは、これまでの産直を大切にしつつ、より確かなものとしていくため、今日の情勢を踏まえて、真剣な議論を行いました。
その中で、双方が確認できたことは、「自分たちの食べ物は自分たち確保する。自分たちで守り育てる。」ということです。そして、これまでの産直運動の中で、育て培ってきた牛乳・牛肉などの商品とその商品に対する思いは、今後の日本の食の未来につながる思いでもあります。
単なる商品と異なり、食は「命の糧」です。安全なもの、いつまでも食べ続けれるもの、という安心がなければなりません。
グローバル化が進み、生産現場が見えなくなり、生産と消費が遠くなる現代にあって、社会の仕組みとして、大切であることはなにか。交流を軸としながら、自分たちの食べ物は自分たちで確保していく産直、地域での地産地消運動です。
先人が残してくれた産直活動を振り返るとき、今日的な意義が鮮明となってきます。商品だけでなく、商品を通じて、社会のあり方も問い、その中で、相手と自らが共存し、さらにその関係の中で、次世代に残す長期的な視野も確認できます。
そして、昭和48年頃の酪農危機、BSEよる畜産危機を産直提携により、また協同組合間協同により、乗り越えてきた歴史があります。
双方の協同の理念を大切にし、組織と運動の方向性を確認しながら、協同組合協同として、都市と農村による産直、地域での地産地消をより確かなものとしていく。
そして、役割と責任を自覚しつつ、生活者としての共通な立場で、相互に理解し、生産し続け、食べ続けれる関係を築く。生産者は自給率の向上と安全な食料を提供に励み、消費者は責任をもって受け止める。そして、あらゆる機会に交流と実践を深め、相互理解と共同の取組みを強めていく。また、その国民のための食糧農業政策への転換を求める運動を広げていくことを確認し、集会アピールとします。
2008年4月5日
2008年産直フォーラム in 鳥取